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» 2004年10月19日 17時40分 公開

Lotus Day 2004レポート:第一生命のNotes/Domino移行プロジェクト、サーバ集約化の反面、課題も浮き彫りに

「他システムへの移行はメリットが見出せなかった」── 5万5000ユーザーという大規模なLotus Notes/Dominoシステム移行プロジェクトを成功させた第一生命情報システムのアナリスト、中山豊氏はそう振り返ったが、多くの課題も苦言として紹介した。

[浅井英二,ITmedia]

 10月19日、「Lotus Day 2004」は2日目を迎え、午前の基調講演で第一生命保険相互会社の移行事例が紹介された。

 「他システムへの移行はメリットが見出せなかった」── 5万5000ユーザーという大規模なLotus Notes/Dominoシステム移行プロジェクトを成功させた第一生命情報システムのアナリスト、中山豊氏はそう振り返る。

「1年半 600人月」の大規模プロジェクトを振り返る中山氏

 1997年、本社にNotes R4.1の導入を開始した同社は、その後、支社や支部にもNotes/Dominoを展開し、電子メールや掲示板、会議室はもちろん、すべての業務の入口として活用している。そのユーザーは内勤1万5000人、営業4万人、合計5万5000人。クライアントPCが約1万6000台、Webクライアント(ペンタッチタイプの携帯端末)が約4万台、それを支えるサーバ数も約2000台と、こちらも桁違いだ。基幹アプリケーションが100、各部門が作成したアプリケーションは3800もあり、データベースの合計は13万にも上る。

 2001年からはNotes/Domino R4.6.7にマイナーバージョンアップしたものの、2003年1月末にはサポートが打ち切られてしまうことから、「1年半 600人月」の大規模プロジェクトが始まった。

他製品への移行も検討

 もちろん、多くのNotes/Dominoユーザーがそうしたように、WebアプリケーションやExchangeなどへの移行を検討した。

 「他製品への移行を検討したが、メリットを見出せなかった。新規開発には工数がかかるし、Webや新しいミドルウェアのスキルをエンドユーザーに教えるのは難しかったからだ」と中山氏。1989年のR1以来、一貫して上位互換性を維持してきたNotes/Dominoに軍配が上がった。

 Notes/Domino R4.6.7のサポート打ち切りという望まない理由がきっかけだが、支社や支部に展開された2000台のDominoサーバを集約できることも、中山氏はバージョンアップのメリットとして挙げる。

 1999年、Notes/Domino R5でインターネット標準への完全対応を果たしたあと、開発投資の多くはDominoサーバのスケーラビリティー向上に充てられている。初日の基調講演に登場したNotes/Dominoの開発責任者、ケビン・キャバナー氏によれば、R5からR6、そして来年4月発表予定のR7へとバージョンが一つ上がるごとにCPU使用率を25%ずつ低減し、NotesBench Mailのユーザー数を50%ずつ向上させるのがデザインゴールとなっているという。

 第一生命のNotes/Domino R4.6.7ベースのシステムでは、1台当たりの許容ユーザー数は500〜1000だったが、R6では3000〜6000と大幅に向上し、結果的に2000台のサーバを30台に集約化できたという。

 「2000台のサーバの多くが事務室に置かれていた。夏場、オフィスを閉めるためにクーラーを切ると、熱暴走でダウンすることもしばしばだった」と中山氏は苦笑する。

IBMには耳の痛い話も

 日本アイ・ビー・エムにとっては耳の痛い話だが、移行に関する課題も浮き彫りになり、中山氏はその多くを苦言として紹介した。

 彼は、そもそも移行検討のきっかけとなったサポートを打ち切りを先ず取り上げ、今回のケースのように約3年でバージョンアップを迫られるのでは「Notes/Dominoを使い続けるための費用が見合わない」と厳しく注文を付けている。大規模システムのため、プロジェクトは1年半に及ぶからだ。常に移行への対応に迫られ、運用効率の改善にも頭が回らないとも。

 中山氏は、ソフトウェアの品質に関する課題も多く提起したほか、Notesクライアントの肥大化にも苦言を呈している。1万6000台のクライアントPCは、導入から5年ほど経過しているWindows 95マシン。

 「Notes単独でも満足に動かなくなってきている。1万6000台のリプレースは莫大な費用がかかる。機能強化もいいが、“軽い”ソフトウェアであってほしい」と中山氏。

 長期間、Notes/Dominoを使ってくると、重要な業務が稼動し始め、もはや再起動では済まない。これはサーバも同じだ。

 「“何で止まったのか?”“今後は大丈夫か?”と必ずユーザー部門から詰問されるようになった」(中山氏)

 中山氏は、サーバ、クライアントを問わず、必要な機能だけを選択できる仕組みを設けてほしいと話す。クライアントを例に取れば、旧式のPCであるため、Notes R6にバージョンアップしてもJavaは使っていないのだが、それによってフリーズしやすくなってしまったという。R4を簡易クライアントとして位置づけ、サポートを継続してもらえれば、と話す。

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