総論:優良企業はBIで攻めて守ってNTTドコモの業務プロセスの場合(4/4 ページ)

» 2005年09月07日 06時34分 公開
[怒賀新也,ITmedia]
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 NTTドコモを支えるこうした仕組みはまさにBIをベースにした情報システムによって構築されている。コア業務を確実に効率化していくという企業の攻めの姿勢を、BIがバックアップしていることが分かる。

「守り」を教えてくれた米国の元大企業

 一方、BIには守りで企業を強力に支援する側面がある。こちらのキーワードは、SOX法(サーベンス・オクスリー法もしくは米国企業改革法)だ。同法は、2001年の米国の電力会社であるエンロンの不正経理操作事件以降、通信のワールドコムなど次々と大企業の不祥事が発覚したことを背景に、企業の情報開示の正確性や信頼度を高めて投資家を保護することを目的に2002年に制定された。エンロン、ワールドコムともに、巨大企業にもかかわらず、虚偽の財務情報を開示したとしてあっけなく姿を消すに至った。

 日本でも、カネボウが粉飾決算で、西武鉄道が有価証券報告書虚偽記載により、企業としての信頼性を著しく落としたことは記憶に新しい。

 金融庁企業会計審議会は7月13日に、「日本版SOX法」の公開草案を公表、2008年にも施行されると言われている。日本版SOXの特徴は、内部統制の定義における基本要素として、「ITの利用」が明記されている点にある。たとえば、業務処理統制においては、個々のアプリケーションシステムで、承認された取引がすべて正確に処理され、記録されることを確保しなくてはならないなどの記述も見られる。「電子データを残さないと粉飾決算になる」くらいの覚悟が求められるという。

 この場合に、BIを導入していれば、いつでもリアルタイムの情報を開示することができる。一方、導入していなければ、必要なデータの提出ができず、場合によっては経営者が逮捕されるようなケースも考えられる。また、訴訟を起こされて敗訴した場合には、巨額の支払いを命じられる可能性もある。BIは、不祥事の防止策などの守りの面からも、企業にとって不可欠なアプリケーションになろうとしている。

 BIの導入効果の実際などを今後も深掘りしていく。

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