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» 2005年09月16日 00時00分 公開

Cognos 8でBIの殻を破るコグノス

コグノスがBI標準化基盤の決定版としてCognos 8 BIを発表した。マーケティングを担当する内田エリアバイスプレジデントは、「BIの古い概念はぶち壊してしまいたい」と話す。

[ITmedia]

 意外なことに、ビジネスインテリジェンス(BI)のリーダーであるコグノスが、OLAP(オンライン分析処理)、リポート、アドホックなクエリといった「BIの従来イメージ」を払拭するのに躍起だ。

 コグノスは9月14日、BIの次のステージに照準を合わせた「Cognos 8 Business Intelligence」を世界同時発表した。

 「Cognos 8 Business IntelligenceでBIの古い概念はぶち壊してしまいたい」と話すのは、コグノスでマーケティング・エリアバイスプレジデントを務める内田雅彦氏。

 コグノスはここ数年、「CPM」(Corporate Performance Management:企業業績管理)のビジョンを掲げ、BIを戦略的なソリューションという、より高い次元へと引き上げようとしてきた。2003年9月に同社が発表した「Cognos ReportNet」は、CPMに照準を合わせ、同社がBIの従来イメージ払拭に動き出す狼煙(のろし)だった。

ReportNetが狼煙

 ReportNetは、部門利用を目的とした、それまでのデスクトップ型やクライアント/サーバ型のBIツールと一線を画し、エンタープライズレベルでの利用を睨んで、J2EEやWebサービスといった最新の技術を盛り込み、CPMの基盤として開発したものだ。

 単純な検索、集計、リポートのツールを目指したのではなく、経営者やビジネスマンが必要な情報をさまざまなシステムから引き出し、ビジネス上の意思決定を迅速に行えるようにするのがReportNetのコンセプトだと内田氏は話す。

 従来型のリポートツールもHTML、PDFといった出力形式に対応しているが、最終的な目的が「出力」であるのとは大きく異なる。必要なデータをマルチデータソースから集め、顧客のビジネスを遂行するうえで知性を働かせるための手助けとなるリポートをつくりだすのがReportNetの目的だ。

 「ReportNetでは、ダッシュボードをつくりたいという引き合いが多い」と内田氏。同社の方向性は顧客のニーズに合致していると話す。

 経営者が見たいのは、1つのシステムから得られる平面的なリポートではない。幾つかのシステム、例えば、会計、在庫、販売といった複数のシステムから情報を引き出し、ありのままを把握したり、組み合わせた立体的なリポートを見たうえで適切な意思決定を下したいと彼らは考えている。

 従来型のリポートツールでは、複数のシステムから情報を引き出すことが難しいため、ともするとExcelでデータを切り貼りして経営者に報告することになる。しかし、人が介在することでデータの鮮度は落ちるし、恣意的な要素も入りやすい。

 「最終形の紙の帳票ありき、ではなく、今のありのままを報告する“動詞的な”リポートをReportNetは目指している。従来の汎用機リポートとも全く異なるところだ」(内田氏)

 ただ、情報を活用するユーザーもさまざまだ。従来の汎用機リポートのように夜間バッチで打ち出されるリポートで済む人もいれば、能動的に必要なデータを取りに行きたい人もいる。これらはすべてリポートツールがカバーすべき領域だと内田氏は話す。

 ReportNetであれば、同じ夜間バッチでも必要なデータだけを必要な人に配信することができるし、定型リポートでは物足りないユーザーのためには、フィルターを組み合わせてデータを絞り込める「準定型」の仕掛けも用意されているという。多岐にわたるユーザー層に対応できてこそ企業全体に導入できるBIツール標準化の基盤となるのだ。先ごろ、リコーがBIのグローバル標準としてReportNetの導入を発表したのは記憶に新しい。

部門レベルのBIではROIが不明瞭なまま

 とはいえ、多くの日本企業でのBI導入は、コグノスが思い描く姿とはかけ離れているのが現状だ。

 BIは本来、顧客のビジネスを遂行するうえで知性を働かせるための手助けをするものであって、それ自体が直接コストを削減したり、売り上げを拡大するものではない。つまり、ROIを求めるのは難しいのだ。BIが部門ごとにその決裁範囲内でばらばらと小規模でしか導入されていないのにはそうした背景があると内田氏はみる。

 「全社レベルで経営層、部門長、そして現場が同じデータをそれぞれが必要なデータの粒度で見て、適切な意思決定を下し、業績を押し上げることができれば、BIのROIに対する見方も変わる」(内田氏)

 BIのインフラを全社で標準化すると隠されたコストも浮かび上がる。例えば、ユーザー教育、ライセンス、システムなどのコストだ。これらのコストが標準化によって下がれば、ROIも満たせるというのが、BI標準化のシナリオだ。

企業のパフォーマンスを制御可能に

 「BIは古くからあり、コグノスもOLAPツールの市場を長年リードしてきた。BI市場はもはや頭打ちで、成長の余地がないとみる向きもあるが、まだまだ未開拓」と内田氏。

 CPMのビジョンも、BIの殻を破り、次のステージに進めたいという同社の狙いが込められている。

 「われわれが目指しているのは、“企業のパフォーマンスを人の意思によってマネージしきる”ということに尽きる」(内田氏)

 内田氏は「マネージド・パフォーマンス」という表現を使い、CPMのビジョンを分かりやすく説明する。

 「今アクセルを踏まないと機会を逃すかもしれない」、逆に「今ブレーキを踏まないと在庫の山が出来てしまうかもしれない」──例えば、経営者であれば毎日そういう厳しい意思決定を迫られている。もはや羅針盤なしの勘だけでは生き残れず、彼らはリアルタイムで意思決定を支援してくれるダッシュボードを必要としているのだ。

 9月14日に世界同時発表されたCognos 8 Business Intelligenceは、「シンプル」と「コンプリート」をキーメッセージとして掲げる。全社レベルで標準化して使いこなすには仕組みそのものはシンプルでなければならないし、経営者から現場まで、さまざまな階層のユーザーが使うのですべてのニーズにこたえる完璧さもなければならない。

 しかも、例えば、経営者が複数のビジネスプロセスからのデータを総合して見たいと考えたとき、モノシリックな環境になり得ない。どんなデータソースでも全方位でサポートするがBI専業ベンダーであるコグノスの使命だと内田氏は言い切る。

 「われわれは、企業のパフォーマンスを人の意思によってマネージするための単一のプラットフォームを完成させた。Cognos 8をBI標準化の基盤として選べば間違いはない」と内田氏は胸を張る。

 コグノスでは欧米のベストプラクティスを国内にもきちんと持ち込み、中期的には業種別のアプリケーション、Cognos Performance Applicationの提供も検討している。単なるBIのツールベンダーからソリューションベンダーへの脱皮だ。その仕掛けはすべてCognos 8に組み込まれているという。

 なお、コグノスでは10月18日、都内でCognos 8を披露する「Cognos Performance 2005」を開催する。

プラットフォームサービスは、複数のシステム(マルチデータソース)から必要な情報を引き出して組み合わせ、必要とする人に配信するためのサービス群。その上位には、計画、実行、評価、改善というプロセスを繰り返して経営の質を高めていく業績管理アプリケーション群が統合されている

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