Macromedia MAX開幕、加速するWebアプリの次世代シフトMacromedia MAX 2005 Report

前夜、シカゴ・ホワイトソックスが46年ぶりのリーグ優勝を決めたカリフォルニア州アナハイムでMacromediaの年次カンファレンス「Macromedia MAX 2005」が開幕した。

» 2005年10月18日 10時11分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 前夜、シカゴ・ホワイトソックスが46年ぶりのリーグ優勝を決めたカリフォルニア州アナハイムでMacromediaの年次カンファレンス「Macromedia MAX 2005」が開幕した。米国時間10月17日、ロサンゼルスにはふさわしくない冷たい雨が降る中、アナハイムコンベンションセンターのボールルームではオープニングの基調講演が行われ、Macromediaのユーザーら3000人が詰め掛けた。

MAXの会場となったアナハイムコンベンションセンター──雨の合間もあるが天気予報では数日「青い空」は望めそうにない

 オープニングの基調講演には、今年初め、CEOに昇格したスティーブ・イーロップ氏とチーフソフトウェアアーキテクトを務めるケビン・リンチ執行副社長が登場し、遍在するインターネットでもクライアント/サーバ型の豊かな表現力、豊かなデジタルエクスペリエンスを実現していく同社のロードマップを示した(リンチ氏の基調講演は別記事で紹介)。

RIAの実例が続々、Flash Player 8は1億ダウンロード

 イーロップ氏は、今や被災地となったニューオリンズでの昨年のMAXカンファレンスを振り返り、そこでの約束が「Studio 8」のリリースなどによってきちんと果たされていることをアピールした。ちなみにStudio 8の日本語版も10月12日に出荷が始まっている。

 「Rich Internet Applications(RIA)は、クライアント/サーバ型で培った高いインタラクティブ性とインターネットでしか成し得なかったグローバルな配信性の素晴らしい“結婚”だ。昨年、われわれはデモを行い、その一例を示したが、あれから1年で実際にさまざまなRIAの実例が登場している」とイーロップ氏。

 ブラウザ上でFlashアプリケーションを実行する「Flash Player 8」のダウンロードも9月12日に開始されたばかりだが、わずか1カ月と少しで1億回のダウンロードを記録している。

 「1日当たり500万ダウンロードに達しており、この基調講演が行われているあいだにも40万がダウンロードされる計算だ。過去に比べて普及のスピードは加速している」(イーロップ氏)

 ISVとのパートナーシップも拡大している。SAPはこの4月、よりリッチなインタフェースを構築できるようにするため、「Macromedia Flex」のアプリケーションフレームワークによってSAP NetWeaverを拡張することをコペンハーゲンのSAPPHIRE '05で明らかにした。

 この日の基調講演にもSAPでアライアンスを担当するギド・シュローダー氏が招かれ、SAPのVisual Composerを利用してグラフィカルなFlashアプリケーションを簡単に生成し、Webブラウザクライアントに配信するデモを披露している。

デモでは顧客情報をレポートするFlashアプリに与信チェックを簡単に追加してみせた

 また、Macromediaはユーザーの幅を企業で働く社員にも拡げるべく、e-ラーニングやWebコラボレーションのためのソリューションである「Breeze」にも注力している。既に1600社を超える顧客が採用しているほか、Cisco SystemsやAvayaは、Flash PlatformとBreezeを自社の製品に組み込むべく採用しているとイーロップ氏は明かす。

 イーロップ氏は、9月中旬のPDC(Professional Developers Conference)で「Expression」シリーズを発表したMicrosoftを牽制することも忘れなかった。ここ数年、RIA構想を掲げ、そのための本格的な開発環境である「Flex Builder 2」(コードネーム:Zorn)のαバージョン公開に漕ぎ着けた同社としては、レドモンドの放つ刺客にも余裕を見せたいところだ。

 「Microsoftは、新しいツールを開発することによって、再びFlashを追いやろうとしている。われわれが贈る言葉はたったの2ワード、“Try Again”だ」とイーロップ氏が皮肉たっぷりに言い放つと、会場は大いに沸いた。

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