7分で分かる2月のブログ界(2/2 ページ)

» 2006年03月06日 13時29分 公開
[森川拓男,ITmedia]
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 これは、ブログが単なる日記から、他人に読ませること、見てもらうことを目的としたものへと変化していっていることを表しているのではないだろうか。その流れは、ブログサービスに当たり前のように付けられているアクセスランキングやコメント・トラックバックランキングによっても加速しているようにも見える。

 ピアミージャパンは2月28日、ブログ検索BlogHeaderに新機能としてレーティング(評価)機能「ブログrarings」β版を追加した(関連記事)。このニュースもまた、その流れの一環と捉えられるだろうか。プラスマイナス5段階評価ができる読者の評価システムを採用することで、アクセス統計を元にした人気ランキングとは違った評価が期待できるのだ。

 またライブドアは2月2日、ポータルサイト「livedoor」で提供する「livedoor検索」のブログ検索で、新たにN-gram方式による検索エンジンへと移行したことを発表。この方式による検索対象ブログは2千万件を超えたと表明している(関連記事)。さらにテクノラティジャパンは2月13日に、検索対象ブログ記事数が1億100万を超え、検索対象となるブログサイト数も250万超になったことを発表している(関連記事)。検索サービスにおけるブログサイト数の拡大は、さらに「見られる可能性」の増加にもつながっていくだろう。

ブログに独自ドメインの動き

 見られることを意識すると、やはり目立たせる工夫が登場しても不思議ではない。皆と同じブログサービスを使って、同じようなドメインでブログを展開するよりも、オリジナルのドメインでブログを開設した方がよいのでは? というニーズを狙ったものが登場している。

 ネットラピュタのブログサービス「NetLaputaブログ」は2月23日、容量500Mバイト追加と独自ドメインの追加オプションを含むサービス「NLB-STORAGE」を開始した(関連記事)。利用容量が増えて独自ドメイン名が利用できるものだが、この狙いで多くのニーズに応えられるだろうか。注目したい。

 また、このアプローチとは別に「NetLaputaブログ」では一つの事件が起こっている。2月1日、「NetLaputa ブログからのお知らせ」で、「過去のコメント通知の誤送信について」の報告を行ったのだ(関連記事)。この誤送信に対しては、一部ユーザーから大量にメールが届いたことに対して不満が寄せられた。事を大きくしたのは、ケータイキャリアやプランによるパケット課金のユーザーが予想外のメールを受けたことにある。

 最終的には2月6日にリリースがあったが、「PC・ケータイなど受信手段や実質的な到達数に関わらず、通知対象となったコメント数を対象として、ケータイキャリアや料金プランに関わらず一律0.315円の負担を行う」と発表した(関連リンク)。この発表によって、累計で1000円以上となるユーザーにはWebMoneyまたは指定口座への振込みとなっており、2月6日付けで算定額を表示、WebMoneyを受け取るサイトが用意された。ただし、今回のトラブル原因ははっきりと解明されておらず、ケータイで通知メールを受信するユーザーが多い現状では、再発防止の意味でも結果報告が待たれている。

ケータイからの利用が増加傾向に

 ブログユーザーが増加している利用の一つとして、ケータイからのブログ利用が挙げられる。カメラ付きケータイで写真を撮り、そのままブログにアップロードするモブログの流行だ。ブログ界の女王といえば眞鍋かをりさんが挙げられるが、最近では一日に大量の写真付きブログを掲載する「しょこたん」こと中川翔子さんが新たなブログ女王として認知され出しているのも、モブログと関係しているのだ。

 ケータイからの利用の増加、それはそのまま画像を使ったブログの増加でもある。

 ピアミージャパンは2月21日、既存のブログに貼り付けられている画像を自動的にサムネイル化するサービスを開始した。ブログ検索BlogHeaderのトップページに最大12枚一覧表示する新機能「ブログPix」をリリースしたのだ(関連記事)。表示される画像は1分ごとに更新され、常に投稿されたばかりの新着画像が一覧表示されるようになっている。サムネイル化だけではなく、掲載画像の情報や、掲載されたブログ記事をリンクすることなども可能だ。

 また、楽天のブログサービス「楽天広場」は2月15日、画像サーバ負荷に対応するため、原因の一部となっていた他サイトからの画像利用を禁止すると発表、2月22日より順次対応を開始した(関連記事)。楽天サーバにアップされた画像を他のサービスから利用できないようにする措置だが、これにしてもケータイ画像の利用が増えたことの影響が否めない。

 そしてケータイユーザーの増加を受けて、paperboy&co.が提供するブログポータル「JUGEM」は2月27日、ケータイからの新規ユーザー登録を開始させた(関連記事)。これに合わせて、ケータイ用管理ページの機能強化も行っており、ブログに関するほとんどの操作をケータイから行えるようになった。

 また、面白いサービスではケータイ専用ロボット型検索エンジン「CROOZ!」(クルーズ!)を運営するウェブドゥジャパンは、無料名刺作成サービス「マイカード」を展開するイクスと連携し、自らのケータイブログのQRコードが印刷された名刺を無料発行できる「クルーズ!マイカード」サービスを開始させた(関連記事)。これも、ケータイ利用の伸びとともに、QRコードの普及がなせる業だろうか。

情報発信ツールとしてのブログ

 ブログは、何も個人だけのツールではない。企業や団体でも情報発信のツールとして利用するケースが増えている。いわゆるビジネスブログと称されるものだが、それ以外にも情報発信ツールとしてブログを利用するケースが増えており、これを印象づけるニュースが相次いだ。

 まずは、「求人」というキーワードだ。

 翔泳社の100%子会社である翔泳社プラスは2月2日、IT・デジタル業界に特化したブログ型求人サイト「さんろくまる」をオープンした(関連リンク)

 キャリアブレインは2月6日、同社の運営する医療系求人広告サイト「キャリアブレインネット」と連動するブログの機能を更に強化し、病院ブログのポータルサイト「メディカルブログ」をオープンさせている(関連記事)

 さらに、専門家によるブログをポータル化させるものも出現している。

 インプレスグループの編集工学研究所は2月22日、編集技法の集大成ブログという「EDIT64」を開設した(関連記事)。EDIT64は、「時代が必要としている再編集ニーズに応える」をコンセプトとしたブログの集合体としており、記事を執筆するのは認知心理学者、コンセプター、デザイナー、教育者、放送作家、レストラン経営者、司書、エンジニア、マーケッターなどの専門家だ。

 また、RSSというブログを構成する機能の1つを利用した情報発信も、各方面で進んでいる。2月8日にはinomaが、インターネット上で企業や行政が公開する調査リポートや、報道発表資料などの新着情報をほぼリアルタイムに収集する一次情報のリアルタイム通知サービス「Unwrap(アンラップ)」の無料提供を開始した(関連記事)。ユーザーが指定したキーワードに沿ってWebサイトやRSSを監視し、通知するサービスだ。また2月21日には、農林水産省も収集新着やプレスリリースのRSS配信を開始している(関連記事)。この流れは今後も加速していくに違いない。

 その一環としても重要なのが、2月28日に総務省が設立した、「日本ブログ協会」だ(関連記事)。ただし、同サイトに脆弱性があることが発覚、一時会員申し込みを中断するなど、役所仕事ならでは? の不安も垣間見せている(関連記事)。期間限定であるが今後も注目しよう。

 また、ライブドアは都道府県ごとにブログを集めた「livedoor Blog ローカル」を2月3日に公開、地域ごとの情報を閲覧できるようにした(関連記事)

Movable Typeも企業向けプロダクトへ

 日本におけるブログは、まだまだ個人の日記ツールとして使われているものが多い。元々、日本では日記サービスが普及していたこともあり、そのままブログへと流れたためだろうか。しかし最近の傾向として、企業がブログツールを利用して情報公開を行うケースなどが増えてきているのは、前述した通りだ。いわゆるビジネスブログから、社長日記や開発日記など、これまではインターネット上のサービスとして使われてきたが、シックス・アパートの発表はイントラネットでの情報共有を狙いとしたものだ。

 シックス・アパートは2月28日、サーバサイドのブログツールMovable Type 3.2をベースとした企業向けのブログツール「Movable Type Enterprise 日本語版」(通称、MT Enterprise)を3月10日から出荷することを発表した(関連記事)。大規模な人数での運用を想定した管理機能の強化や、部門や全社ポータル構築のための運営機能強化、LDAP認証の採用などが含まれている。なお、MT Enterpriseで機能強化されたものは、今後リリース予定のパーソナル向けMovable Typeでも機能搭載していくという。

 また、Movable Typeを活用するためのパートナー企業の動きも盛んだ。2月8日にはシックス・アパートが、パートナー企業「ProNet」で100社を超えたことを発表(関連記事)。この発表そのものが、ブログの裾野が広がっていることを意味するだろう。

 その中でベイリーフは2月3日、オンラインショップ構築に必要なテンプレートやタグが組み込まれており、テンプレートを修正するだけでオンラインショップを構築できるMovable Type専用プラグイン「BLOG PLUS」の販売を開始した(関連記事)

 また、アドビは2月27日、「Movable Type 3.2」に対応したWeb開発ツール「Macromedia Dreamweaver 8.0.1」向けの拡張機能「Dreamweaver 8.0.1 拡張機能 for Movable Type 3.2」の無償ダウンロードを開始している(関連記事)

 このほか、サーバサイドブログツール「sb」の後継に当たるスクリプト「Serene Bach」は、2月10日に正式版の最新バージョンにあたる ver 2.04Rを公開したが、重大なバグがあることが判明し、15日14時半にバグフィクスしたバージョンに差し替えられた(関連記事)

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