7分で分かる12月のBlog界(1/2 ページ)

世間でRSSやAjaxに話題が集まる中、ブログ業界では多様性とスパムへの対策に追われている。2005年の動向を一挙に振り返るとともに、12月に飛び交ったニュースを総括してみよう。

» 2006年01月13日 07時42分 公開
[森川拓男,ITmedia]

アフィリエイトとブログの関係

 アフィリエイトとブログ。この関係は近くて遠いものなのか、遠くて近いものなのか。

 2005年12月14日に公表された「アフィリエイト・プログラムに関する意識調査2005年」によると、57%のブロガーがアフィリエイトを利用したことがあるという(関連記事)。さらにこれを20〜40代の女性に限れば、7割ものユーザーがブログによるアフィリエイトを体験している。各ブログサービスがアフィリエイトとの連携を強め、容易にアフィリエイト可能としたことが後押ししているのか、ブログとアフィリエイトが密接になってきたことを表してくれた統計情報だ。

 ただし、それと比べて収入という面では期待と現実のギャップが大きい。ほとんどのアフィリエイターは月に1000円未満という現実があるのだ。

 この期待値と現実とのギャップが埋まるのか否かが、今後のブログによるアフィリエイトの可能性につながっていくだろう。海の向こう米国では、用意されたHTMLをコピーするだけで、自分のブログにビデオ広告を掲載できるという新サービスも始まった(関連記事)。2006年、注目点の一つだ。

眞鍋かをり委員長のブログ普及委員会の狙い

 それでは、2005年12月に繰り広げられたブログ界の動向について触れていこう。

 紀伊國屋書店は12月1日、8月より開設した書評ブログサイト「紀伊國屋書店書評空間 KINOKUNIYA BOOKLOG」のリニューアルを実施した。専門家やプロの読み手による執筆陣を16名へと増員したものだ(関連記事)

 ニフティは12月5日、ブログのさらなる認知度アップを狙って、ブログ女王の異名を持つタレントの眞鍋かをりを委員長とした「ブログ普及委員会」を発足。同時に特設サイトも開設した(関連記事)。都内で開催された記者会見では「本音を語れるブログの魅力を伝えて、多くの人に書いてもらいたい」と抱負を語っている。

 また、2005年に何かと話題になったライブドアは、運営するブログサービス「livedoor Blog」の登録ユーザー数が100万人を達成したことを表明し、サービス開始2周年を記念して12月16日には「livedoor Blog Presents 「想定外」のクリスマス・パーティ・オフ in NAMJATOWN」を開催した(関連記事)。livedoor Blogは2006年度中には300万ブログ達成を見込んでいるという。

 また、メールマガジン配信サービスで知られる「まぐまぐ!」は、12月6日にマガジン形式として新たにブログ機能(ウェブログ形式)を搭載している(関連記事)。容易にWebサイトを作成することを可能とし、利用料金は無料、テキスト容量は無制限と発表されている。

 その前月には、同じくメルマガ配信サービスの「melma!」が、ブログサービスを終了させている(関連記事)

 どちらがよいとは言えないが、メルマガのバックナンバーをそのままブログとする「まぐまぐ」の意向は、ブログの新しい利用法といえるのではないだろうか。今後に注目していきたい。

ポータル強化がトレンドとなりつつある

 ブログサービスが増えていく中、その差別化が必須項目の一つだといえるだろう。どれを見ても同じでは味気ない。そこで、各社が取り組んでいる一つに、ブログサービスとしてというよりも、“ブログポータル”として機能を強化する動きがある。

 NTTレゾナントのブログサービス「gooブログ」も12月7日、「探せて便利」「見て楽しい」「見られてうれしい」をコンセプトに、ブログポータルとしての機能強化を目的としたリニューアルを行っている(関連記事)。特に、他社ブログも表示するなど、ブログサービス全般のポータルになろうとする姿勢が強く出ているものだ。

 また、もう一つの強化点として、容量の拡大も続いている。

 12月23日、NTTコミュニケーションズが提供するブログサービス「ブログ人」は各プランのディスク容量のGバイト化を実施した(関連記事)。これは20日に告知されたメンテナンスに伴うもの(関連記事)

終わりの見えないスパム対応

 日本でブログ人口が急増し、マスメディアなどでも取り上げられることが多くなるにつれて、以前より問題化していたトラックバックスパム、コメントスパムも増える傾向にある(関連記事)。ネットスターが発表したブログで迷惑行為として知られる「トラックバックスパム」や「コメントスパム」の実態についての調査結果でも、4割のユーザーがスパムを経験しているという(関連記事)

 各サービス業者も後手後手の対応を強いられており、12月に入っても、そのいたちごっこの流れは変わらなかった。

 「エキサイトブログ」は12月7日18時より「キーワード拒否設定」機能を、翌8日12時より「トラックバックのリンクチェック機能」を搭載した(関連記事)

 「ブログ人」では12月23日、Gバイト化の対応と同時に、迷惑コメントやトラックバックに対する機能の強化も行われた(関連記事)。受信したコメントやトラックバックを一時保留することで、ユーザーが確認してから公開することを可能とした。

 サーバサイドのブログツールでも対応が急がれているが、アップルップルの「a-Blog v1.42」でも、トラックバック元の記事などにリンクがない時にトラックバックを受け付けないという設定が追加されている(関連記事)

 また、12月7日にはネットスターから、企業向けでMovable Type対象のブログスパム対策ソフト「ブロガード バージョン1.0」が発売されている(関連記事)

ブログトークという新たなコンセプトが登場

 ブログサービスも数が増えていく中で、プラスαの機能も付加するという傾向が多い。「ブログが作れます」というだけではもはや当たり前になっているからだろうか。ただし、付加機能を追求するあまり、肝心のブログ機能の使い勝手などに不満が出るようでは本末転倒。この兼ね合いをどうするかが、2006年のブログサービスの大きな課題といえるかもしれない。

 イー・アクセスのブログサービス「AOLダイアリー」は12月27日のメンテナンスで、β公開中だった掲示板機能「ブログトーク」の各種修正を行い、正式版を公開している(関連記事)。正式版では、ブログ機能との連携がより強化されている。

ケータイ対応が必須となっている

 インターネット人口の増加は、そのままケータイによるインターネットアクセス人口の増加に比例している。確かに、ADSLや光ファイバーなど、PCからのアクセスインフラの整備も大きいが、ネット接続可能なケータイが普及したことも、大きな要因といえるからだ。ケータイキャリアでも、「ブログが見られる」ということを売り文句の一つにしているところまで現れている。

 シックス・アパートは12月7日、ブログサービス「TypePad」の管理画面をケータイから利用可能な「TypePadモバイル」の新バージョンを発表した(関連記事)。TypePadモバイルは、今回のバージョンアップケータイからの操作性を向上させて、正式サービスへと移行している。

 「はてなダイアリー」は12月21日、ケータイ版の機能強化を実施した(関連記事)。これまでは日付け単位でしか参照できなかったブログモードで、記事別に付けられたコメントやトラックバックをPC同様に記事別参照が可能になるなど、ケータイからのブログモードの利用がPC版に近づいていることが分かる。

 これまで少しずつケータイ対応を行ってきた「ブログ人」が、12月23日には全キャリアに対応したケータイ対応のβ提供を開始した(関連記事)

 これらの対応は、サーバサイドのブログツールでも必要項目となってきている。

 アップルップルのブログツール「a-Blog」は、12月23日に公開したv1.42において、全ライセンスのケータイ対応を実施した(関連記事)。アクセスしてきた端末を自動判別してケータイ用のテーマに切り替えたり、画像をリサイズすることでケータイではサムネイルを出力させてパケット代を節約できるようにするなどの対応がなされている。

livedoor Wikiのグループウェア対応

 簡単にWebサイトを構築する仕組みとしてブログが流行しているが、最近ではWikiもその仕組みの一つとして普及し始めている。特に、livedoor Blogを提供しているライブドアが「livedoor Wiki」のホスティングサービスを開始したことで、話題になっているともいえるだろう。

 その「livedoor Wiki」が12月19日、特定メンバーのみがWikiを参照できる「閲覧認証」機能に加えPDF/音声ファイルの添付機能を追加し、グループウェア利用も可能にした(関連記事)。この対応がWikiのさらなる普及に一役買うかどうか、見守りたい。

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