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» 2006年08月14日 09時48分 公開

情報収集に熱心な投資家ほど忙しい個人投資家がいつも立ち寄るIRページの秘密(2)(2/2 ページ)

[アイティセレクト]
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業種、規模に関わらず、個人投資家が求めるもの

 「個人投資家向けのコーナーを設けているのは、何も大企業ばかりではありません。業種、規模に関わらず、個人投資家を意識したサイト作りは各企業で進んでいます」と中村氏は話す。中村氏がその一例として上げてくれたサイバネットシステムのIRサイトを見てみると、個人投資家向けのコーナーがあった。そこをクリックすると、実に整理された形で同社の事業内容や強みなどが開示されていた。

 こうしたサイトを見ていると、最初はその企業に興味がなかった投資家でも、無意識にクリックして情報を読んでいくのではないかと思えてくる。

 「個人投資家でも60歳以上の人の30%は情報集めにウェブを活用しています。それよりも若い人たちは半数以上にもなります。そこで大切なのは、やはり分かりやすさ。そして投資家や株主が知りたいと思うことをすぐに答えてくれるという簡便さでしょう」(中村氏)

これに答えるためIRサイトに一問一答形式のページを作り、決算期や株主構成、事業の概況などについて簡単な回答を上げている企業も多い(図2)。化学メーカーの帝人などは原油高が自社に与える影響についてこうしたコーナーに上げている。

個人投資家向けに行っているIR活動

 中村氏は個人投資家に着目する企業の動向について次のように話す。

 「株主構成の中で個人投資家の比率をある程度の水準を保っていることは、株価を下げない効果が期待できます。経済環境が悪くなった時、機関投資家やファンドは利益を確保するためにどうしても売りに出してしまう。そこで若干下がった株価を持ち直すには、個人を中心とした株主に期待せざるを得ないのです」

 ウェブIRの優良企業といわれるTDKやカゴメは実際に個人投資家を確保することで、安定した株価を形成することに成功したと言われている。これらの企業の例のみならず、個人投資家の動向は多くの企業の株価、経営そのものに大きな影響を及ぼしているのだ。

 米国で先行する「フェアディスクロージャー」の考え方は今まさに日本にも浸透しつつある。派手なコンテンツ、凝りに凝ったサイトよりも、まずは親切で分かりやすいサイトという方向にシフトしている。そこで決算説明会や株主総会、社長からのメッセージなどをストリーミング映像で配信することのみが「親切」だとは限らない。細切れにしたとしてもワンセクション5分以上もかかる映像をただ見てくれといわれても、そんな余裕がある人ばかりとは限らないのだ。

 「最近は、説明会の資料として抄録に文書にまとめてアップする企業も多いですね。音声のみの情報提供をする企業も増えています。アーカイブとして過去の資料を閲覧しやすいようにまとめる企業も出てきています。忙しい投資家に少しでも食い込んで関心を高めようという工夫が見られます」(中村氏)

ウェブで情報収集する投資家はじっくりと自社サイトを見てくれるはずと、どうしても錯覚を起こしがちだ。しかし、その錯覚に気づき、IRサイトで投資家にアピールすることの難しさを経験した企業が新しい展開に打って出ているのだ。

この記事はアイティセレクト9月号掲載のものを再編集したものです。



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