組織の中に潜む敵を知る企業にはびこる「間違いだらけのIT経営」:第14回(2/2 ページ)

» 2006年09月27日 13時30分 公開
[増岡直二郎,アイティセレクト編集部]
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抵抗勢力に一般論は通じない

 逆に、異端児は自己保身意識・自己顕示欲が強く、批判的で、ますます自分が疎外されるかも知れない新しいことに批判的である。そこは抵抗勢力の温床である、とさえ言える。

 次に、抵抗勢力なる人々を抵抗する原因別に分類することができる。「守旧派」、「ITアレルギー派」、「メンツ派」、そしてシステムが期待通りに機能しないために負担に感じて抵抗する「システムオリエンテッド派」になる。その背景には、トップの方針があいまいだったり社内共有されなかったりという一次原因があるが、二次的には抵抗勢力のほとんどがこの分類に含まれる。これを把握しないと、彼らに対する適切な手が打てない。

少数勢力でも影響力には要注意

 さらに、抵抗勢力は「勢力」というほどの力も数もなく、原因から推し量ってもしょせん少数派であり、恐れることはないということが分かる。虚に怯えることはない。ただ恐れるとすれば、抵抗する人が職場に影響力のある人の場合だけである。そして、表面で大きな声でITに異を唱える者は扱いやすい。むしろ表面化しない者や面従腹背の者が扱いにくい。

 もう一つ分かってくることは、例えば、先の例でB部長の下で皮肉を言われながら、何とかSFAを使いこなそうと努力をする担当者たち、あるいはG取締役から圧力を受けながらも、何とかCSSを成功させようと努力する情報部門長や現場の人々がいるということである。

 とかく抵抗勢力とそれと戦う幹部やシステム構築側にばかり議論の焦点が集るが、一方現場で新しいこと(IT導入)にけなげにチャレンジする人々がいること、そして彼らが陰鬱な抵抗勢力との厳しい戦いを強いられていることにも議論の焦点を置く必要がある。

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