コンシューマー向けのインターネット企業がさまざまなインスタントメッセージングサービスやIP電話サービスを無償提供しているが、セキュリティやコンプライアンスの観点からも、また、統一されたユーザー体験の観点からも、Sametimeの右に出るものはない。ターゲットも違えば、ビジネスモデルも違うのだ。何よりもフォーチュン50のうち29社、トップ15の銀行のうち12行が採用していることが、それらを雄弁に語っている。
「毎日、2000万人がSametimeを利用している。Notesなどに組み込まれた機能のユーザーまで含めれば、1億人に達する」とモース氏は胸を張る。
また、2007年にSametimeを新たに採用した企業の3分の1は、Microsoft Outlook/Exchangeの顧客だったという。
次の10年に向けた拡張も着々と進められている。
今年上半期に出荷が計画されているSametime Advancedは、新たにコミュニティー機能を盛り込み、コラボレーションの在り方を再び大きく拡張している。これまでのSametimeが、知っている人同士のコラボレーションを支援するのに留まっていたのに対して、Advancedでは、専門知識を持つコミュニティーや専門家を探し出し、すぐに連絡を取ることができるようになるという。
またNotesと同様、OpenOffice.orgベースのオフィススイートであるSymphonyも組み込まれ、スプレッドシートやグラフなどをSametime上で読み書きできるようになるのも魅力だろう。コミュニティーによるチャットディスカッションを記録していく機能も盛り込まれるため、ドキュメントを共有しながらプロジェクトを進めていくのにも役立ちそうだ。
今年下半期に登場するSametime Unified Telephonyは、電話によるコミュニケーションをすべてSametimeから管理できるようにしてくれる。席に居るときはPCで着信し、外出すれば携帯電話で着信する、といった具合だ。カレンダーでミーティングが設定されていれば、ボイスメールに切り替えることもできる。これらの設定は、条件とデバイスのルールを定義することで簡単に行える。ウイークデーの夜は自宅の電話で受けるが、土曜と日曜の着信は、特定の上司からの着信を除いて、ボイスメールに切り替える、といった現実に沿った条件を設定することもできるという。
ステージでは、今はモックアップにすぎないが、Sametimeの将来像も幾つか描いて見せた。仮想現実の世界でプレゼンしたり、会議をするのは少しやりすぎだとしても、Webカンファレンスの参加者をビジュアルに見せ、漫画の吹き出しのように発言を表示するのは、分かりやすくていいだろう。会議の様子を、まるでマルチメディアオーサリングツールのタイムラインインタフェースを介してトラッキングできる機能も魅力的だ。
かつては、Notes/Dominoの補完、として買収された技術から生まれたSametimeだが、新たなカテゴリーを切り開き始めている。
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