国内に複数のデータセンターを所有する大手データセンター事業者の中には、交通至便な都内のデータセンターにメインサイトを置いて普段はそこを利用し、災害時には遠く離れた地方のデータセンターに構築したバックアップサイトに切り替えて利用できるというサービスを提供しているところがある。
最も一般的なのは、データベースサーバをレプリカ構成にし、メインサイトとバックアップサイトの間で常時同期するというものだ。ディザスタリカバリの手法はこのほかにもいくつかあるが、肝心なのは国内に複数のデータセンターを所有しているという点である。これは、データセンター選びのポイントとしても考えたい。
中小企業向けには、社内のサーバのデータを事業者が運営するデータセンターに定期的にバックアップするというサービスがお勧めだ。
例えば、低料金のインターネット回線を利用して社内にあるファイルサーバやアプリケーションサーバのデータを1日1回、遠隔地のデータセンターにバックアップするというもの。データセンター利用料、ユーザー専用のストレージサーバ使用料、ネットワーク使用料を含めて月額20万円程度からという価格のサービスもあり、中小企業にも十分に手が届く。
また、データをバックアップしたいサーバにエージェントプログラムを組み込んでおくだけで、インターネット回線経由でデータを遠隔地のデータセンターにバックアップできるサービスもある。こちらも、低価格のサービスが提供されている。
このような低価格なディザスタリカバリサービスを利用すれば、災害対策は決して手の届かないものではない。最悪でも1日前のデータに戻すことができればよい、という程度ならば、こうしたサービスは最適だ。特に、ディザスタリカバリに対する備えがまったく手つかずという中堅中小企業にはぜひお勧めしたい。
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