同社はこうした課題を解決すべく、Teradataをベースに新しい自動販売機支援システムを構築、2006年後半に運用開始した。略称では「HOWKS」と呼ばれている。営業マンの生産性向上、売り上げの最大化、および品質のコントロールなどが狙いだ。
約10万台の自動販売機のうち、オンライン化されているものが1万4000台あり、ここから毎日、販売と在庫の情報が送られてくる。接続されていない残りの自動販売機からは、営業マンのハンディ端末経由で数日間単位の情報を吸い上げる。Teradataは夜間バッチでこれらを集計し、販売予測や欠品予測、鮮度管理などのデータをはじき出し、翌日営業マンが訪問計画を策定するのを支援する。
2006年後半に本格運用を開始したHOWKSの効果は、具体的な数字に表れており、営業マンの効率的な業務運用を実現している。欠品時間が約38%短縮でき、訪問回数も約20%減らせた。しかも、これまでであれば、半年から1年を研修に要していたが、新支援システム運用以降は、新入社員でもわずか1カ月の研修で現場に出せるようになったという。
「情報をベースとした改善活動、つまり仮説を立てて効果を検証しながら改善する考え方が営業マン全体に行き渡ったことが大きい」(中野氏)
夜間バッチ処理のスピードが決め手となってTeradataを選んだものの、朝夕の2回、700人の営業マンが一斉にアクセスするピークでは、オンライントランザクション処理のような負荷が掛かり、最適化に苦労したが、HOWKSに対する評価は高い。
「効果の認識をトップおよび現場と共有し、ゴールを明確にすることが重要。また、仮説検証の仕組み作りも欠かせない」と中野氏は話す。
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