コラム
» 2009年05月08日 17時25分 公開

IT Oasis:会社は「ゆでガエル」のようには死なない (2/2)

[齋藤順一,ITmedia]
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実はタイタニック現象である

 もう1つは、危険を察知しても企業慣性が働き方向転換が効かず、破綻に向かって突き進むパターンだろう。経営者は環境変化には気が付いているのである。

 それに対して有効な対応策が見つからない、あるいは対応策を考えている間に時間切れになった、という状況が多い。経営といってもフリーハンドで決められる要素は実は少ない。継続企業には多くの制約条件が課せられている。業界のあるポジションで事業をしているとすれば、事業に合わせた立地や設備があり、技術力や営業力を磨いている。従業員の採用や教育も事業に合わせて施している。得意先や仕入れ先の制約もあるだろう。

 外部環境が変わったからといって、おいそれとは事業内容を変えられないのだ。

 ある自動車会社に外国からトップがやって来て、外注の絞り込みをやった事があった。自動車会社には全ての部品を自社で作る技術力はない。一次下請けや二次下請けの企業と数年かけて、試作を繰り返し、新型車を作っていくものなのである。自動車業界はサプライチェーンで固く結ばれており、簡単に値段が安いメーカーとだけ取引をするといった事をしてはいけないのだ。

 しかし、その社長によって下請け業者は切られた。その結果、値下げ要求に対応できない、あるいは値下げの要求に対して対応意欲が低下してしまった経営者は会社を閉めたり、譲渡したりして業界から去って行った。外国人社長にエンジン部品を内製化され、注文のなくなった中小企業もあった。その会社は従業員の3分の2をリストラし、保有技術を活かしてボールネジの製造会社に業態転換し、辛くも生き残った。

 こうした状況を外部からみると「ゆでガエル」のように見えるかもしれない。

 しかし実は、氷山を発見しても種々の制約によって方向転換できない、あるいは方向転換を試みても惰性で破綻に向かって突き進んでしまう「タイタニック現象」というのが実際なのである。

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プロフィール

さいとう・じゅんいち 未来計画代表。NPO法人ITC横浜副理事長。ITコーディネータ、CIO育成支援アドバイザー、上級システムアドミニストレータ、環境計量士、エネルギー管理士他。東京、横浜、川崎の産業振興財団IT支援専門家。ITコーディネータとして多数の中小企業、自治体のIT投資プロジェクトを一貫して支援。支援企業からIT経営百選、IT経営力大賞認定企業輩出。


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