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» 2009年08月26日 11時12分 公開

Oracle Database Summit レポート:ユーザー企業が感じ取るクラウドの威力 (2/2)

[谷川耕一,ITmedia]
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ユーザーはいま、クラウドコンピューティングにどのように取り組めばいいのか

 パネルディスカッションに先立ち、ITmediaの浅井が登壇し、企業にとってクラウドコンピューティングがどのように役に立つのか、クラウドコンピューティングが情報システムの1つの選択肢になったかについて講演し、これらに関しゲストを招きパネルディスカッションで議論を行った。

ITmedia エグゼクティブの浅井英二編集長

 まず浅井は、クラウドコンピューティングの変遷を振り返った。クラウドという言葉が世に初めて登場したのが、2006年8月にGoogleのCEOであるエリック・シュミット氏によるもの。その後、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)ベンダーであるSalesforce.comがPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)への注力を発表し、2008年はOracleがAmazon EC2に対応、MicrosoftがAzureの発表をするなどさまざまな動きがあり、現在のクラウドへの高い市場の注目に至った。

 クラウドコンピューティングには、すべての業界関係者が諸手を挙げて賛成してきたわけではない。OracleのCEOであるラリー・エリソン氏は、2008年9月クラウドコンピューティングの市場での過熱ぶりに「コンピュータ業界はファッション業界よりも流行志向が強い唯一の業界だ」と批判した。

 エリソン氏は「クラウドは新しい言葉に大騒ぎしているだけで、やっていることはいままでと大きく変わるものではない」と強く当時の状況を批判したのだ。この批判は、ある意味で正しいといえるだろう。画期的な新技術があり、それでクラウドコンピューティングが生まれたわけではないからだ。

 とはいえ、既にクラウドコンピューティングを活用しつつあるのも事実。米国メジャーリーグのMLB.comや米国国防総省などでクラウドの成功事例が1年前にも既にあったと浅井は報告する。現在日本においても、大手新聞の1面をクラウドの記事が飾る日も出てきた。しかしながら「依然としてクラウドはふわふわしたもので、はっきりしない」と浅井は指摘した。

クラウドコンピューティングを理解したうえで適材適所で採用する

 ここで、ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏が登壇し、クラウドと(SaaSやPaaSなどを包含する概念の)XaaSの違いについて解説した。クラウドコンピューティングは仮想化し、抽象化しているのが1つの特徴であり、ハードウェアやソフトウェアの束縛からユーザーを解放したものだとのこと。ユーザーは個々のサーバを意識する必要することがなく、必要なときに無理なく拡張できる。

ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏

 さらに、プライベートクラウドとパブリッククラウドについても解説した。すべてのシステムをパブリッククラウドに移行できないので、オンプレミスとクラウドで2つのSLAやセキュリティポリシーを管理しなければならない現状がある。さらに、データやプロセスの連携も大きな課題だ。また、「オンプレミスで使っていたものを、いきなりクラウドに持っていくとコストが上昇することがある」とも岩上氏は指摘する。

 これらの課題を、クラウドの俊敏性や拡張性というメリットを確保しつつ克復しようというのが、プライベートクラウドだと岩上氏は説明する。クラウドコンピューティングで利用するサーバの幾つかをあえて自社管理下に置くことで、クラウドのメリットを享受しつつガバナンスを獲得する。プライベートとパブリックはどちらがいいかという話ではなく、自社状況に応じ適宜選択すべきものだとのことだ。

 実際にクラウドコンピューティングを採用する際には、どのシステムをパブリックにするのかという見極めが重要となる。クラウドコンピューティングが提供するのはあくまでもシステムのリソースであり、IT活用の「魔法の杖」ではないことも理解する。リソース提供にすぎないので、むしろ要件定義や設計はさらに重要になる。データや処理の連携、全社的なガバナンスの維持など、クラウドコンピューティング時代には、CIOの手腕がより問われることになると指摘した。

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