2009年、最も素晴らしかった革新技術は?(1/4 ページ)

2009年は厳しい年だったが、それでも多くの企業や起業家は技術革新を続けてきた。2009年に輝いた、「次の波」を生む新技術をピックアップする。

» 2009年12月25日 08時30分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 この2年、人々はただやることをやり、できるだけ現状を維持し、新しいアイデアに時間を使いすぎないようにする「雌伏」モードに陥りがちだった。

 幸い、このような考え方に追随しないIT企業、開発者、起業家はたくさんいた。この1年、革新的な最新の製品や技術に取り組む大企業、小規模企業、独立系の開発者や研究者の例が多く見られた。

 こうした人たちには大いに感謝しなければならない。彼らはわたしたちにとって、厳しい時代から生まれた大きな希望の1つなのだから。

 たいていの場合そうなのだが、新しく革新的な技術は、ビジネスを改善し、皆に新たな機会を作り出すという点で最も強力な成長エンジンとなる。

 2009年、わたしたちは今のユーザーや企業に恩恵を与えるだけでなく、企業や個人を高揚させる次の波となり得る未来の技術環境への道を指し示す新たな革新技術をたくさん目にしてきた。

 では、その革新的な製品や技術とはどんなものだったのだろうか? ここでは2009年に突出していた技術やセクターを紹介する。

HTML5

 まだ完全な標準ではなく、主要ブラウザやアプリケーションにも完全には実装されていないが、HTML5は既にWebの今後に大きな影響を及ぼしている。HTML5では、Webアプリケーションがより双方向的で機能豊富になり、ブラウザがネイティブに動画を処理できるようになり、デスクトップのような機能をWebアプリケーションに組み込めるようになる。この規格はFirefox、Google Chrome、AppleのSafari、Operaに実装されている。そしてこれから見られるHTML5の具体的な影響としては、Googleが最近、Gears技術の開発を中止すると決定したことがある。GearsのWebアプリのオフラインサポートはHTML5の中核機能だからだという。

モバイルOS

 少し前までは、モバイルOSは貧弱で融通の利かない、クローズドなシステムだと思われていた。開発者にとっては対応アプリの開発が難しく、ユーザーにアプリを届けるのがほぼ不可能なハードルとなっていた。ユーザーにとっては使いにくいことが多く、カスタマイズの余地も限られていた。iPhoneは優れたOSと、アプリを開発して提供する(比較的)オープンな場を提供することで、そうした観念を打ち壊した。2009年にはAndroidを搭載した携帯電話やPalm WebOSなどの新しいシステムが台頭し、モバイルOSはアプリ開発者にとってダイナミックに、柔軟に、よりオープンになれるということを示した。

Google Chrome OS

 OSとしてのブラウザという考え方は、以前から話題になってきた。Chrome OSの開発者向け初期バージョンのリリースで、われわれはついに、それを目にすることができた。Chrome OSのメインのインタフェースはChromeブラウザで、同OSのアプリのほとんどはWebベースになるとみられる。このバージョンのChrome OSはまだ初期段階だが、2010年末のリリース前には変更されるだろう。同OSで見られたアイデアの一部は、ほかのシステムやハードにも広まっていくと思う。

次世代プロセッサ

 通常、プロセッサの成長というものはユーザーにとってほとんど意味がない小さな性能の向上で測られている。だが2009年は、ハイエンドでもローエンドでも、プロセッサ技術で大きな前進が幾つか見られた。Intel Xeon Nehalemファミリーは性能が大幅に向上し、サーバの拡張性もかなり高まった。またULV(超低電圧)プロセッサの革新により、高性能と省電力の両方を実現したノートPCを作れるようになった。

検索エンジンの戦いが新たに

 2009年はWeb検索におけるGoogleの優位に挑むライバルが現れた。Wolfram|Alfhaは、クローズドなデータベースを検索するという点では従来的なWeb検索エンジンではないものの、単に検索結果のリストを提供するのではなく、質問への答えを表示する検索エンジンという興味深いものを見せてくれた。だが最大の(そしておそらくは最も意外な)ライバルはMicrosoftのBingだった。BingはGoogleの牙城に食い込み、より魅力的で双方向的な検索エンジンを提供している。Googleは長らく、ベーシックでシンプルな検索インタフェースを支持してきたが、Bingは魅力的、双方向的かつ動的な検索インタフェースにも居場所があることを示した。

新たなコラボレーション技術

 2008年には、コラボレーションと言えばSNS、Wiki、TwitterといったWeb2.0技術に注目が集まっていた。それに加えて、これらの技術を企業向けに改造したサービスも台頭した。だが2009年にはコラボレーションの概念に斬新な展開が見られた。ブラウザメーカーのOperaは「Opera Unite」という新技術をリリースした。これは基本的に、ブラウザ内のWebサーバのようなものだ。セキュリティの観点から見ると、皆のシステムにWebサーバを実装するのは大いに懸念がある。だが機能という点では、Uniteは面白いアイデアだ。外部のサーバやクラウドシステムが不要で、すべてのWebユーザーがつながりあい、データを共有できる。また2009年には「Google Wave」が発表された。この年にリリースされたテクノロジーの中で、おそらくは特に誤解されているものの1つだろう。多くの人はWaveの最初のβ版と、そのコラボレーション機能やタスク管理機能に注目しているが、本当に面白いのは、コラボレーション・コンテンツ配信システムをオープンな形で常時開発できるプラットフォームになる可能性があるということだ。

データセンターにもSSD

 SSD(フラッシュメモリ)はIT業界で何よりもよく使われている。USBドライブから、カメラ、MP3プレーヤー、携帯電話まで、誰でもおそらく幾つものSSDを持っているだろう。最近では、SSDはNetbookなどの小型モバイル機器の人気オプションとなっている。だがSSDの影響が最も現れるのは大型システムかもしれない。サーバでSSDを採用すれば、性能が大幅に向上し、運用面でもメリットがある。

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