1990年代半ば、MicrosoftはNetscapeと戦っていた。Webブラウザ市場を支配するためではなく、NetbookブラウザがWindowsの脅威になること――NetscapeブラウザそのものがOSになり得ること――を恐れたからだ。
それから10年以上がたち、われわれはついに、ブラウザがOSだったらどうなるかを目の当たりにしている。Google Chrome OSがまさにそうだからだ。少なくとも、最新リリースされた初期の開発者バージョンはそうだ。ほとんどの部分で、ChromeブラウザがChrome OSの唯一のインタフェースになるからだ。
実際、Chrome OSの使用感を味わってみたいのなら、Chromeブラウザを立ち上げて、1日中同ブラウザを使ってコンピュータ作業を済ませるといい。そうすれば、Chrome OSが提供するものの約90%は体験できるだろう。
公正を期して言うと、この記事はかなり初期の段階のChrome OSのレビューだ。基本的には多くの点でプレα版だ。来年末のリリース前に大きく変わる可能性もあるが、今回試した開発者向けリリースは、ほとんどの作業をWebで実行するOSについて興味深い問題を提起している(開発者向けChrome OSのスライドショーはこちら)。
Googleによると、同社はChrome OSをスタンドアロンのOSとしてリリースする計画はなく、PCメーカーと提携して、同OSをNetbookなどのデバイスに搭載するという。だがChrome OSはオープンソースプロジェクトなので、どのシステムにもダウンロードしてインストールできるバージョンを作ることは可能だ。
開発者バージョンをテストするために、わたしはソースコードをChromiumサイトからダウンロードして、Ubuntu VM(仮想マシン)上でビルドした。インターネットからChrome OSのビルド済みイメージもダウンロードして、別の仮想マシン上にロードした(ほとんどの人にとっては、後者のやり方の方が簡単にChrome OSを入手できるかもしれない)。
最初にChrome OSを立ち上げると、シンプルなログイン画面が表示される。既にGmailアカウントを持っているのなら、そのログイン情報を使ってChrome OSを起動できる。
Chrome OSが起動すると、基本的には標準的なChromeブラウザの画面が現れる。だが、画面の左上に独自のボタンが表示され、このボタンをクリックするとアプリケーションページが立ち上がる。これは、開発者向けChrome OSとChromeブラウザの数少ない違いの1つだ。このページには、Chrome OS内で起動できるアプリケーションの既定のリストが表示される。その中には、Gmail、Google Apps、Calendar、Picasa、YouTubeなど、皆さんの予想通りのGoogleアプリが並んでいる。Yahoo! Mail、Pandora、Hulu、Facebook、TwitterなどのWebアプリも入っている。
これらアプリのほとんどはWebベースであるため、アプリケーションページから起動すると、ブラウザ内でタブが立ち上がり、そこで実行される。だがこのリストには、システム内にあるアプリも2、3入っている。その1つがシンプルな電卓機能で、画面右下に立ち上がる。電卓を最小化すると、右下隅にボックスとして表示される。
アプリの中には、Google.comへのログインが必要なものも幾つかある。つまり、少なくとも今のところは、これらアプリはGoogle社員でなければテストできないということだ。
ユーザーはいずれ、このアプリケーションページをカスタマイズできるようになるようだ。アプリケーションショートカットを作成するための画面には、アプリケーションメニューにショートカットを追加するオプションがあるからだ。しかし、開発者向けビルドではこの機能は使えなかった。
Chrome OSには、フルスクリーンのブラウザではなく、新しいOSを実行しているのだとユーザーに思わせるような小さなエリアがほかにも少しだけある。右上の3つのアイコンは、基本的なシステム情報と設定オプション用だ。1つ目は、クリックするとバッテリー残量を表示し、2つ目のアイコンは無線・有線のネットワーク設定を、3つ目はChromeブラウザのツールメニューとほとんど同じオプションを表示する(違っているのは、タッチパッドとタイムゾーンを設定するタブがあることだ)。
これらのオプション以外の設定は、ブラウザ設定から直接持ってきたものだ。別のブラウザをデフォルトにする設定項目もある。おそらくは、Chromeブラウザのメニューをそのまま取り込んだ結果なのだろう。GoogleがChrome OSに別のブラウザやディスクベースのアプリをインストールすることを認めるとは思えない。
実行中のプロセスやメモリ使用状況を確認できるタスクマネージャも(タイトルバーを右クリックすると)利用できる。
Chrome OSはかなりChromeブラウザに似ているように感じたが、開発者向けビルドはブラウザオンリーのOSがどんなものになるのかという興味深い実態を見せてくれた。
Webベースのアプリやツールにしかアクセスできず、日常的な作業の大半はWebで処理できた。わたしは少なくとも、Webベースアプリだけを使って作業することは想像できる。
だがテストの際に、Webオンリーモデルの課題に突き当たった。Chrome OSをテストをしていた数日間のうち、2時間以上インターネットに接続できない日があった。その2時間の間、Chrome OSは役に立たなかった。WebベースOSは、Webなしでは大したことができないとが分かった。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR