サイボウズは事業戦略説明会を開き、「場所」「用途」「人」の分野でグループウェア関連のサービスを打ち出し、パッケージソフトでは取り込めなかった利用者を獲得する戦略を発表した。
サイボウズは3月18日に事業戦略説明会を開き、主力製品のグループウェアを軸に、「サイボウズモバイル KUNAI」「サイボウズ かんたんSaaS」「サイボウズLive」の3つのサービスで新たな利用者の獲得を目指す戦略を発表した。
グループウェア市場が飽和する中、グループウェアのパッケージソフトだけでは新たな利益を確保できなくなっている。青野慶久社長は「単なるスケジュール共有(の製品)だけでは生き残れない」と危機感を募らせる。
そこで同社は、グループウェアを使う場面を増やすという新たな戦略を描く、具体的には「場所」「用途」「人」というテーマごとにサービスを提供する。外回りをする営業担当者やPCを使わない業務を担当する人なども活用できるグループウェア関連のサービスを提供し、新たな収益に結び付けるのが狙いだ。
グループウェアを使う場所の選択肢を増やすのが、サイボウズモバイル KUNAIだ。このアプリケーションは、大規模企業向けグループウェア「サイボウズ ガルーン2」の情報をWindows Mobile搭載機から閲覧可能にする。「社内メール」や「ワークフロー」の機能を備え、会社のPCから離れた場所で情報共有や稟議決済ができるようになる。iPhoneへの対応も見据え、「スケジュールを同期できる簡易版を夏に提供」(サイボウズ)する見通しだ。
用途を拡張する役割は、サイボウズ かんたんSaaSが担う。これは業種や専門職種に特化したアプリケーションを低価格で提供するSaaS(サービスとしてのソフトウェア)だ。Webデータベース「サイボウズ デヂエ」を改良した専用の基盤を用意し、ほかの利用者が「プログラミングなしでアプリケーションを開発」(SMB戦略部 野水克也氏)できるようにする。建設や教育など業界に特化した業務アプリケーションをパートナー企業から拡充し、利用者ごとのニーズに応えていく。
新たな人(利用者)は、サイボウズLiveで獲得する。サイボウズLiveは、社外の人とスケジュールやファイルを共有できるWebグループウェア。PCに専用ソフトをインストールすれば、サイボウズ Officeと情報を同期できる。「主婦や家族でも使えるグループウェア」(サイボウズ)として無料で提供し、グループウェアを使っていない利用者にサービスを訴求する。
中核のグループウェア製品であるサイボウズ Officeのバージョンアップも進めている。「スケジュールだけでなく、チームのタスクを管理して共有する」(青野社長)というコンセプトを掲げ、サイボウズモバイル KUNAIやサイボウズLiveと連係する機能も強化していく見通しだ。
「(スケジュール管理などのサービスを提供している)MicrosoftやGoogleには(規模では)及ばないものの、グループウェアの分野では圧倒的な総合力を発揮したい。製品やラインアップで多様なニーズに応えていく」と青野社長。2010年を「大公開時代」と位置付け、グループウェア製品を補完するサービスを幅広く“公開”していく意向を見せた。
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