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» 2010年03月27日 08時30分 公開

「聞く姿勢」は職場で苦しむ仲間を救うビジネスマンの不死身力(2/2 ページ)

[竹内義晴,ITmedia]
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相手の話を繰り返す

 仲間の心をケアする話の聞き方は、「相手の話を繰り返す」というものだ。

 「最近、仕事が忙しい」と言う仲間がいた場合、あなたはどう声を掛けるだろうか。何も意識しなければ、下のようなアドバイスを中心とした会話になりがちだ。

「最近、仕事が忙しくてさあ」

「そんなに無理しなくていいんじゃないの?」

「上司の○○さんが仕事を押し付けてくるから、いつも定時じゃ帰れないんだよ」

「あの人はいつもそうだからね。あまり気にしないほうがいいよ」

 もちろん、聞き手はよかれと思ってアドバイスをする。だが、忙しい、大変だという相手の気持ちを受け取っていないため、心まではケアできない。

 相手の話を繰り返す聞き方を意識したのが、以下の会話だ。

「最近、仕事が忙しくてさあ」

「そうか、忙しかったんだね」

「上司の○○さんが仕事を押し付けてくるから、いつも定時じゃ帰れないんだよ」

「定時じゃ帰れないんだ。大変だね」

「そうなんだよ。たまにはパァーっと飲みに行きたい気分だよ」

「飲みに行きたい気分なんだね。じゃあ、今日は気分転換に飲みにでも行ってみたら?」

 話を聞きながら相手の気持ちや言いたいことを繰り返すと、相手は話を聞いてもらっているという気持ちになり、充足感や肯定感、安心感が生まれる。大切なのは、仲間を大切に思う気持ちだ。仲間が話す機会を作り、話を聞くことから始めよう。

 相手は話すことによって内に抱えているものを手放していくため、的確なアドバイスは必要ない。聞くことに集中すると「的確なアドバイスができない」という不安もやわらぐ。もしアドバイスをしたいなら、話を十分に聞いた後で、「今日は気分転換に飲みにでも行ってみたら?」というように、軽く進言するといいだろう。

 相手の言いたいことを考えながら、繰り返し聞く、相手の気持ちを言葉に出して伝える。すると相手は「つらい気持ちを理解してくれた」と感じる。次第に仲間の表情も変わっていくはずだ。

 あなた自身の心が弱っているなら、この機会に、周りの聞き上手な仲間に話を聞いてもらってはいかがだろうか。悩みなどを聞いてもらうことで気持ちが晴れ、新たな方向性が見えてくることも多い。


 今の職場は、あなたにとって「ツライ環境」なのかもしれない。だがそれは、近い将来チームをまとめる立場になった時、「仲間の気持ちが分かる」という素晴らしい経験になるだろう。

変える勇気

 4回にわたり、会話のちょっとした工夫で、仲間とともに働きやすい職場を作る方法をお伝えしました。「仕事の方向性を1つにまとめる」「やる気を引き出す」「自ら考え、行動してもらう」「悩みを抱えた仲間をケアする」という観点で、チームをいい方向に導くコツを取り上げました。

 チームをまとめる手法はたくさんあります。目標管理制度やわたしの専門分野であるコーチングもその1つかもしれません。ですが、人材育成の手法やスキルを中心に考えると、最も大切である「人」への視点が失われがちです。

 われわれは、褒められればやる気が出るし、認められれば嬉しくなります。「楽しい」「ワクワクする」といった感情こそが、人を動かす原動力になるのです。「楽しくワクワクする職場で働きたい」と思ったあなたの一言から、職場は変わり始めます。

 自分から行動を変えるのは、勇気が必要です。もしあなたが何かが変わるのを待つのではなく、少しずつ何かを変えようとしているのなら、その勇気にわたしは敬意を表します。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分が辛かった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場が作れるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。




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