マイクロソフトの開発者向けカンファレンス「PDC 10」を(日本で)見学したオルタナティブ・ブロガーの玉木栄三郎氏が、同イベントの感想と注目点を書いています。
(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「ビジネスをデザインするブログ」からの転載です。エントリーはこちら。)
「PDC 2010(Microsoft Professional Developers Conference)」が開幕しました。わたしはもちろん日本で、しかもStream配信で見学しました。話題の中心は、IE9、Windows Phone 7、Azure。パッと見のわたしの感想と注目点を書きます。
まず、IE9。
これについてわたしが思うのは、IE9という製品そのものより、MSのWeb標準技術への傾倒についてである。もちろんこれはいい傾向だと思う。ただ開発者としては、そのようなトレンドに伴い、MSのWebアプリ開発は、従来のWebFormから、RazorスタイルやMVCが主流になるのではと勝手に思ったりしている。
次にWindows Phone 7。
開発するアプリにもよるが、なんだかんだと利用するFrameworkの中心がXNAになっていくのかなというところ、XNAはXbox向けのFramework。まあ、個人的には、通常のAPIがどんどん進化する中、マルチメディア系のAPIはさっぱり進化しなかった.NET Frameworkに限界を感じていたので、XNA の台頭は悪いものではない。
で、Azure。
Azureは、思っている以上に機能が強化(?)された。ただしスケジュール通りにリリースされればの話であるが……。
細かくはいろいろあるが、わたしの注目は大きく3つ。
1 VMサイズにExtra Smallが登場
わたしは、Azure はもっと値段を下げるべきであろうし、おそらくそうするだろうと考えていたが、それが、単なる値下げではなく、Extra SmallとVMサイズを小さくしたものをリリースしてきた。これは少し意外。値段はSmallの半分以下だが、いっそのこと無料にしてほしかった……。
2 VM Roleの登場
VM Role は前々からアナウンスされていたので驚きはないが、ちゃんとリリースしてくれるんだなと安心。VM Roleは、Windows Server 2008が構築したVHDをUPするとそのまま動かしてくれるという単純だが、優れもの(Azure上でVMを作ることもできるらしい)。まあ、「Amazon EC2でいいじゃん」と言われてしまえば「うーん」ってところですが、まあ、すでに構築済みのVMを必要に応じてクラウドに展開できるというのは実に現実的ですばらしいと思う。
とはいえ、よくも悪くも、この利用方法がAzure利用のスタンダードになっていくのでは? と考えている。今のWebRoleやらWorkerRoleやらを開発してクラウドにUPするのもいいが、結局、開発用にローカル環境を作らなければならないのであれば、環境ごとUPできる方が費用はともかくとして、考え方としてはシンプルだと思うからである。
3 SQL AzureにReportingがついた
SQL Azureはいろいろと強化すべき機能があるのだが、その中でもReporting Servicesを早い段階でリリースしてきたなという印象。もちろんうれしい誤算。ここ数カ月、SQL Azureをいじっていていろいろと不満があったのだが、その不満の1つというか、最も強化してほしい機能がReporting Servicesだったからである。まあ、これは個人的なものですけど。
とまあ、こんな感じ。派手さはないが、各分野において確実な進化が期待できそうである。
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