Googleサーバのハッキングは中国政府が指示――WikiLeaksが暴露

WikiLeaksが28日に公開した膨大な機密データには、年初に発覚したGoogleへのサイバー攻撃が中国政府の指示によるものだとする文書が含まれていた。

» 2010年11月30日 12時12分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 物議を醸している団体、WikiLeaksが入手した機密文書によると、今年起きた米GoogleのGmailシステムへのハッキング事件の背後には中国政府が絡んでいたようだ。

 機密文書を収集し、メディアを通じてこれらの情報を暴露することで知られるWikiLeaksは、過去3年間にわたる25万件の米国外交文書を入手し、その一部をNew York Timesなどのメディアに提供した。

 New York Timesでは、その中に含まれる文書の1つについて、「中国の連絡員が1月に北京の米大使館に伝えた通り、中国共産党が国内にあるGoogleのコンピュータシステムへの侵入を指示したことを示す証拠だ」と述べている。

 同文書によると、このハッキングは政府の工作員によって実行されたコンピュータ妨害活動の一環だった。中国政府は民間のセキュリティ専門家やネット上のならず者をこういった工作員として雇い入れた。妨害活動は少なくとも2002年から行われてきたという。

 Googleの広報担当者は米eWEEKの取材に、「今後もコメントはできない。ご存じのように、われわれは1月にこの事件を公表して以来、誰に責任があるのかについて憶測はしていない」と答えた。

 Googleは1月12日、中国から自社のサーバに侵入されたと発表した。これは、Googleをめぐる今年最大の話題の1つであることは間違いない。

 Googleの企業開発担当上級副社長兼最高法務責任者のデビッド・ドラモンド氏は、このハッキングについて「当社のインフラに対して中国から仕掛けられた高度に洗練された標的型攻撃であり、その結果、Googleから知的財産が盗まれた」と説明した。

 人権活動家のGmailアカウントも攻撃を受けた。一方、中国政府は一切の関与を否定した。

 ドラモンド氏は、Googleは今後、Google.cnでの検索結果の検閲を行うつもりはないと述べるとともに、サイバー攻撃や中国人活動家のGmailアカウントへのアクセスを狙った頻繁な攻撃に対する懸念のため、中国から事業撤退の可能性があることを示唆した。

 この種の問題を監督する立場にある米国務省はGoogleの行動を支持しながらも、攻撃を「非難」する以外にはGoogleを支援しなかった。

 米調査会社Jefferiesによると、Googleの純収入に占めるGoogle.cnの売り上げは2億5000万〜3億ドル(1〜2%)だが、中国から事業を撤退した場合の長期的な影響はもっと大きいという。中国には約4億人のWebユーザーがおり、Googleはこれらのユーザーにサービスを提供できなくなるからだ。

 中国政府との交渉で問題を解決できなかったGoogleは3月、警告の一部を実行に移すべく、Google.cn上のGoogle Search、Google News、Google Imagesの各サイトでの検閲を中止した

 そして同社は、Google.cnにアクセスしたユーザーを香港のGoogle.com.hkサイトに誘導し、未検閲の検索結果を簡体字の中国語でユーザーに提供した。

 しかしGoogleは6月、香港サイトへの誘導を中止した。同社が中国で事業をするのに必要なインターネットコンテンツプロバイダーライセンスを更新しないと中国政府が脅したからだ。

 中国は7月にGoogleの事業者ライセンスを更新し、夏以降は事態は平穏だった。

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