2011年はタブレット市場の25%を企業での購入が占める見込み――Deloitteの予測

米コンサルティング企業のDeloitteが、2011年には企業が1000万台以上のタブレットを購入するという予測を発表した。

» 2011年01月25日 14時43分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 今年のタブレットPCの販売総数のうち、25%以上が企業による購入が占める見込みだ。米Appleが昨年4月に投入したiPadの成功で認知されたばかりの市場としては、信じられないような数字だ。

 1月18日(現地時間)に公表した年次予測でこのような見通しを示した米コンサルティング企業のDeloitteでは、2012年にはこの25%という数字がさらに伸びると予想している。これは、ポータブルPCの機能性という面で、タブレットがノートPCよりも勝っているという認識を企業が抱き始めたからだとしている。

 「一部の評論家はタブレットについて、コンシューマー向けの非力なメディア視聴用のオモチャにすぎないという見方をしているが、2011年には1000万台以上のタブレットが企業によって購入される見通しだ」とDeloitteの報告書は述べている。

 全体的な市場動向として、米市場調査会社IDCでは、コンピューティング業界は2011年に4500万台近くのタブレットを出荷する見込みだとしている。Deloitteでは、タブレットが今年、企業市場に一気に進出する理由を4つ挙げている。

 第1の理由は、ITのコンシューマー化だ。ナレッジワーカーは個人用としてタブレットを購入し、やがてこのガジェットが日々の仕事にも役立つと気付くようになるという筋書きだ。Webに接続されたタブレットを使うワーカーたちは、音楽再生、映画鑑賞、ゲームから会社の電子メールのチェックや、業務アプリケーションに簡単に切り替えることができるからだ。

 第2に、小売り、製造業、医療などの業界では、従業員用にタブレットを試験的に導入する動きが一部で進んでいることがある。Deloitteでは、今年、小売り業界と医療分野だけでも500万台のタブレットが導入される可能性があるとみている。

 3番目の理由として、Deloitteでは、エンタープライズソフトウェアプロバイダー各社に対して、iPadアプリや各種タブレット用のプログラムの開発を要求する声が高まっているとしている。同社によると、ERP、ECM(エンタープライズコンテンツ管理)、CRM分野の大手プレイヤー(米Oracle、米salesforce.com、独SAP、米Microsoftなど)が、全社的に配備できるセキュアなアプリを開発中だという。

 そして4番目の理由は、タブレットのフォームファクタが重役室での普及を促進していることだ。フラットな形状なので、目障りにならないコンピューティングデバイスとして受け入れられているのだ。

 今後、どんな端末とOSが普及するのかという点について、Deloitteでは、Fortune 500企業の70〜80%が一部の従業員向けに少なくとも1種類のタブレットをサポートするとみている。企業のIT部門は特定のOSを強く好む傾向があるという。

 これは企業向けタブレットのOS市場が、スマートフォンおよびPC用のOS市場のシェアを色濃く反映する可能性があることを意味する。このため、何百万台ものiPadやAndroidタブレット、およびその他の各種タブレットが企業に進出するとみられる。

 もちろん、タブレット分野で先陣を切ったのはiPadだ。IDCによると、1700万台という規模のタブレット市場で、iPadは90%近くのシェアを獲得した。今後2年は、iPadが市場を支配すると同社はみている。

 韓国Samsungの「GALAXY Tab」などのAndroid搭載タブレットも1つの選択肢であることには違いないが、画面サイズが7インチと小さく、時代遅れのAndroid 2.3を搭載しているのが難点で、ビデオ会議を行ったり、すべてのアプリが適切な比率で画面に収まることを望んでいる外回りの営業担当者にはあまり向いていない。

 数カ月後には、Android 3.0で動作する米Motorolaの「Xoom」や東芝のタブレットなど各社のタブレットが登場し、こういったニーズを満たしてくれるものと期待される。

 カナダのResearch In Motion(RIM)がこの春に投入予定の「PlayBook」は、BlackBerryのテザリング機能とエンタープライズクラスの強力なセキュリティが魅力であり、有力な選択肢の1つになりそうだ。米MicrosoftのWindows 7や米Hewlett-Packard(HP)のwebOSをベースとするタブレットも、企業市場における両社の信用の高さを考えれば有望だと思われる。

 こういった状況のため、企業は難しい問題に直面することになる。複数の種類のタブレットをサポートすべきか(従業員には喜ばれるが、サポートコストの増大を招く)、それとも1種類のタブレットだけをサポートすべきかという問題だ。

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