Googleがオリジナルブランド端末でAndroid 2.3.3へのマイナーアップデードを実施した。このアップデートでは、NFC機能の強化のほか、Facebookの連絡先を見えなくする変更も含まれている。
熱烈なGoogleファンの人々にぜひお伝えしたいことがある。米Googleが2月22日夜(現地時間)、Nexus Oneと韓国Samsung製Nexus S向けに「Android 2.3.3」を配信することをTwitterで明らかにしたのだ。Nexus Sは昨年12月に「Gingerbread」(Android 2.3のコードネーム)を搭載してリリースされ、今回はマイナーアップグレードとなる。
これがなぜすごいことなのかという理由をこじつけようと思えば、いくらでも並べ立てることができるが、実は大したことではないのだ。キャリア各社の意見を聞くことなく開発されたGoogleのNexus携帯は基本的に、Androidの各新ビルドがきちんと動作するか検証するために同社が用意したテスト用製品なのだ。
いや、最初はそうではなかった。2010年1月のNexus One発売時点では、Googleは同端末(SIMロックフリー版が529ドル、T-Mobileとの2年契約付きのものは199ドル)が飛ぶように売れるのを期待していたのだ。だが、現実はそうはならなかった。
そして昨年5月には、Android開発者のアンディ・ルービン氏がNexus Oneを見限った。売れ行きが良くなかったからだ。その結果、同製品は開発者向け端末という地位に追いやられてしまった。Googleはその後もアップグレードを続け、Android 2.1からAndroid 2.2へ、そして現在はAndroid 2.3となっている。
Gingerbreadを搭載したNexus Sは、そういった事情を伏せたまま数カ月前にリリースされた。とはいえ、同製品は近距離無線通信技術のNFC(Near Field Communication)をネイティブでサポートする魅力的な端末でもある。
Nexus S用のAndroid 2.3.3ビルドではNFC機能が強化されている。Nexus Sはその前世代版のNexus Oneとよく似た形状だ。
Nexus Sもあまり売れないのではないかとわたしは思う。そしてNexus Oneと同様、Googleが開発者向けに提供する高品質の携帯端末の仲間入りをするのではないだろうか。
しかし今回のAndroid 2.3.3アップデートでは、面白い動きも見られた。TechCrunchによると、Android MarketからFacebookアプリをダウンロードしたNexus Sユーザーは、Android Contactsアプリに統合されたFacebookの連絡先を見ることができなくなったのだ。
これは、昨年秋にGoogleと米Facebookの間で紛糾したデータ移植性をめぐる問題の再燃にほかならない。
Googleは昨年秋に「Gmail Contacts Data」APIの利用規約を修正し、ユーザーが連絡先データを容易にエクスポートできないようにしているサードパーティー企業に対し、Gmailの連絡先データを自動的に取り込めないようにした。
この修正はFacebookを意識したものであり、同社はユーザーを「データの袋小路」に追い込んでいるとGoogleは非難した。5億人以上のユーザーを抱える巨大なソーシャルネットワークからユーザーが連絡先情報を自由に出し入れできない、というのが理由だ。
実際、GoogleはNexus Sに対する今回の措置について、TechCrunchに次のように語っている。
Nexus Sおよび将来の主要端末でFacebookの連絡先を特別扱いするのをやめる。われわれは以前から、互恵主義(特定のサービスに情報をインポートできる場合は、その情報はエクスポートも可能であるべきだという考え方)が、真にデータが解放された世界を築くための重要な第一歩であると考えており、ほかのWebサイトおよびアプリ開発者に対しても、ユーザーが自分の連絡先情報をエクスポートできるようにするよう呼び掛けている。
主要端末とはNexus端末だけを指すのだろう。というのも、Facebookから離れたユーザーの苦境を放置するGoogleの抜け目ない動きに、キャリア各社が反発するのは間違いないと思われるからだ。
確かにこれは単なる意地悪とも言えなくはないが、GoogleのNexusシリーズに対するAndroid 2.3.3アップグレードを面白いものにするには、何か小細工をする必要があったのだろう。
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