AT&TがT-Mobile USAを390億ドルで買収へ 全米国民の95%にLTE提供

Verizonと全米首位の座を争う米大手通信キャリアのAT&Tが4位のT-Mobileを買収すると発表した。買収が完了すれば、全米国民の約95%に次世代通信サービスLTEを提供できるとしている。

» 2011年03月22日 06時07分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米通信キャリア大手のAT&Tは3月20日(現地時間)、独Deutsche Telekom傘下のT-Mobile USAを買収することで合意に達したと発表した。買収は390億ドル相当の現金と株式で行われ、12カ月以内に完了の見込み。この買収で、AT&Tは米国民の約95%に当たる2億9400万人にLTEサービスを提供できるようになるとしている。

 AT&Tは、この買収はFCC(米連邦通信委員会)およびオバマ米大統領が目標に掲げている「全米の隅々までをデジタル時代に接続する」という取り組みを支援することにもなると説明している。また、全米の20の地域市場のうち18市場で5社以上の通信業者がサービスを提供しており、健全な競争が行われていると主張する。

 米Business Insiderによると、2010年末時点のAT&Tの携帯加入者数は9550万人で全米で最も多く、T-Mobileは3370万人で4位。2位の米Verizon Wirelessの加入者数は9410万人だ。AT&TとVerizonは小差で首位を争っているが、この買収でAT&Tは首位の座を確立できることになる。

 採用している通信規格は、3GではAT&TとT-MobileはともにGSM系で、Verizonと米3位のSprintはCDMA。LTEに関しては、VerizonがAT&Tに先んじて昨年12月にサービスを開始している。

 T-Mobile USAは同日発表した加入者向けQ&Aで、買収完了後も同社は独立企業として存続し、加入者へのサービス提供にも変更はないと説明した。なお、AT&Tが販売する米AppleのiPhoneを販売することもない。

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