F5、トラフィック管理の「BIG-IP」を強化 設定フローを大幅に短縮

「BIG-IP」の新バージョンでは、利用するアプリケーションの要件をテンプレートに沿って入力することで、自動的に最適なネットワークが設定されるという。

» 2011年08月25日 19時21分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo F5ネットワークスジャパンの帆士敏博シニアソリューションマーケティングマネージャ

 F5ネットワークスジャパン(F5)は8月25日、アプリケーショントラフィック管理装置「BIG-IP」向けOSの最新版「BIG-IP v11」を9月に発売すると発表した。個別の機器やオブジェクトごとでなくアプリケーション運用フローを全体管理することで、アプリケーションの運用準備にかかる時間を「最大100倍」(同社)短縮するという。

 F5の帆士敏博氏によると、「仮想化技術の発達によって企業はアプリケーションの運用準備を素早く簡単にできるようになったが、アプリケーションを運用するためのネットワーク環境の設定にはいまだに数日間程度かかってしまう問題があった」という。

 新バージョンでは、アプリケーションの要件を入力することでネットワークの設定を自動化できる「iApps」機能、アプリケーションの変化に合わせてオンデマンドでハードウェアのリソースを配分できる「ScaleN」機能を追加した。

 iAppsでは、アプリケーションごとに最適化した約20のテンプレートが用意されている。例えばMicrosoft Exchangeであれば、ユーザー数などいくつかの要件を入力するだけで、それらの要件に適した設定を自動で適用するという。また、ユーザー自身がテンプレートを作成したり、開発コミュニティー「DevCentral」を通じて他のユーザーとテンプレートを共有したりもできる。

 また、ネットワークの管理に関わるさまざまな統計情報を可視化する機能も搭載した。ユーザーは「アプリケーションにどれぐらいアクセスがあるのか」「誰がどこからアプリケーションを利用しているのか」といった情報をレポートで把握できる。

photophoto iAppsの設定(写真=左)と、iAppsの統計情報レポート機能(写真=右)

 ScaleNでは、アプリケーションを運用するための複数のハードウェアを全てアクティブ状態で構成することによって、一般的なロードバランサによる冗長構成の課題であったという「使用していないスタンバイ機の管理コストがかさむ問題」(帆士氏)を解消した。また、アプリケーションの運用をアクティブ機からスタンバイ機へ移行する際に一時的にアプリケーションサービス全体がシステムダウンしてしまう問題も解消したという。

 セキュリティ面も強化しており、ユーザーのシステム環境を標的とした悪質なサービス妨害(DoS)攻撃などを防ぐため、BIG-IP v11では(1)接続管理の改善、(2)ネットワーク/アプリケーションレベルでのDoSの軽減、(3)攻撃を自動的に軽減する機能などを実現したという。

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 同社のアリイ・ヒロシ社長は、「新バージョンの発売により、今後2年間でBIG-IPの売上を2倍に増やしていきたい」と話している。

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