日本企業のモバイル活用は「進まず」、複数調査で明らかに

シマンテックやMCPCが発表した企業のモバイル実態調査から、日本企業では活用が進んでいないことが分かった。

» 2013年03月27日 18時20分 公開
[ITmedia]

 モバイル活用が進まない――シマンテックやモバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が3月27日に発表したそれぞれの調査結果から、日本企業のモバイル活用の実態が浮き彫りになった。

モバイルはリスクに見合うメリットがあると答えた企業の割合(左から革新的組織、日本企業、保守的組織。シマンテックより)

 シマンテックの調査では日本を含む29カ国・3236社(従業員5〜5000人)の活用実態を調べた。モバイル採用を推進する「革新的組織」と、消極的な「保守的組織」に二極化していることが判明。革新的組織は、84%がビジネスの必要性からモバイルを推進し、66%が「リスクに見合うメリットがある」と答えた。保守的組織では51%が従業員の意向でモバイル導入に消極的であり、74%は「リスクに見合わない」としていた。

 革新的組織が経験したデバイスの紛失やデータ侵害などセキュリティ問題は、保守的組織より2倍も多いことも分かった。しかし、革新的組織の多くが「モバイル化によって売上の増加を経験した」と回答し、総合的にはモバイル化によってプラスの結果を実感している様子が分かった。

 また、500人以上の日本企業(149社)では、モバイル導入について「リスクに見合うメリットがある」と答えた企業は21%(世界は65%)で、8割近くは「見合わない」と考えている傾向にあるという。44%は企業負担で従業員のモバイルを購入していたが、「ポリシー適用にテクノロジーを使用する」とした企業は36%(世界は51.5%)。500人以上の日本企業は、モバイル購入を進めつつも、モバイル化でたらされる利益に懐疑的であることが明らかになった。

 MCPCの調査では8万人のビジネスパーソンを対象にWebアンケートを行い、2153件の回答を得た。スマートフォンを仕事に使うのは半数以上の1175件で、100人未満の企業で7割近くを占めた。会社支給と個人所有の割合は半々だが、1000人以上の企業では会社支給が6割近くを占める。

 用途ではメールやスケジューラの割合がどの規模の企業でも高いが、1000人以上の企業では社内稟議や勤退管理、ファイルサーバ、内線電話などの利用も目立つ。利用規則が「ある」としたのは、100人未満の企業では2割程度にとどまる一方、1000人以上の企業では7割近くに達した。100人未満の企業の75%では利用規則が実質的に「ない」という状況にあった。

 モバイル利用で期待する効果(企業規模問わず)については、メールや資料、情報の共有において、モバイルを使いたいとする回答者よりも実際に使っている回答者の方が期待値は低かった。特にクラウド型サービスの活用は進んでおらず、稟議や決済などの社内システムの利用率は1割以下だった。

スマートフォンの仕事利用にどのような効果を期待するか(MCPCより)

 MCPCでは調査結果から、小規模な企業ほど管理が行き届かない状態で社員が個人端末を使う「勝手BYOD」が着実に進行し、スマートフォンには強く期待しつつも、現実には使われていない状況にあるようだと分析している。

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