日本HP、Moonshotサーバに新モデル 事業体制も刷新

高密度サーバシステム「HP Moonshot」に、デスクトップとWeb向けの2モデルが加わった。また、サーバ事業体制も3グループに再編したことを明らかにした。

» 2014年01月09日 15時39分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカードは1月9日、高密度サーバシステム「HP Moonshot System」の新製品となる「HP ProLaiant m700 サーバカートリッジ」「同m300サーバカートリッジ」を発表した。m700はリモートデスクトップ向けソリューションで、シンクライアント端末の新機種も発表している。

 Moonshot Systemは2013年4月に発表された高密度実装型のサーバシステム製品。用途ごとに最適化されたサーバノードの「サーバカートリッジ」や、サーバカートリッジを45基収容可能な4.3Uサイズのシャーシなどで構成される。Webフロントエンド向けにAtomプロセッサ S1260を採用するサーバカートリッジが提供されていた。

 今回の新製品は第2弾となるもので、m700ではGPUを統合したAMD Opteron X2150 APU プロセッサを採用。サーバカートリッジ1つあたりに4ノード(1ノードはX2150プロセッサと8GバイトメモリのECC DIMM、32GバイトのiSSDで構成)を搭載し、シャーシ全体では180ノードを実装できる。

新製品のMoonshotサーバカートリッジとサーバカートリッジ45基を収納できるシャーシ(右)

 同社によれば、m700によるソリューションは近年に企業導入が広がっている仮想デスクトップ基盤(VDI)のパフォーマンス不足に対応したものだ。VDIでは物理リソースをユーザー間で共有するため、ユーザーの利用が増えるとリソースが足りなくなるという課題があった。これに対し、m700によるソリューションではユーザーごとに専有の物理リソースを提供する。デスクトップ環境をサーバに集約してセキュリティ強化や運用効率を高めつつ、グラフィック処理を多用するような業務にも対応したいという企業や、DaaS(デスクトップ環境の提供サービス)に適しているという。

 m300サーバカートリッジは、8コアのAtomプロセッサ S2750を採用し、従来モデルに比べてコア数とメモリ数を4倍に強化。これにより、Webサーバに用いた場合の性能はXeon E3-1230v3プロセッサを搭載するラックマウント型サーバとほぼ同等になるという。従来モデルは静的な処理の多いWebサーバなどに適していたが、今回のモデルはコンテンツ配信や動的処理の多いWebサーバなどにも適用できるとしている。

m700によるリモートデスクトップソリューションとVDIの比較。最大の違いはリソースの専有か共有かという点だ。同社はこのソリューションを「Hosted Desktop Infrastructure」と呼んでいる

 製品価格は、m700が2248万8900円から(シャーシとサーバカートリッジ45基、スイッチほか)、m300が1607万9700円から(同)となっている。

サーバ事業は原点回帰

 日本HPは、新製品発表と併せてサーバ事業体制を再編したことを明らかにした。2013年11月から事業グループを「ハイパースケール(HPCや大規模データセンター向け)」「エンタープライズ(企業の基幹システム向け)」「コア(データセンターや企業システム向け)」の3つに分け、それぞれ専任の営業、事業開発、マーケティング、技術支援等の人材を配置。今まで以上にテクノロジーにフォーカスした事業活動を展開するという。

 会見したHPサーバー事業統括本部 統括本部長の手島主税氏は、「モバイルやクラウド、ソーシャル、ビッグデータといったトレンドの中でITの新しい活用が求められる。HP全社としては事業が復調し、テクノロジーでこれからIT活用を牽引していくことに挑戦できる体制になった」と述べた。

3つのグループと製品・マーケットの関係

 2014年は各グループから多種多様な新商材を投入する計画。ハイパースケールでは今回の新製品を含めてMoonshotの適用先を広げる。エンタープライズではミッションクリティカルシステム用のx86サーバとして開発中の通称「DragonHawk」を、まずインメモリデータベース用に投入する計画だという。また、コアではオンプミス環境やクラウド環境のインフラシステムの統合管理と運用自動化を一元化していく取り組みを進めるという。

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