東急リバブルとアサヒビールの事例に学ぶ スマートデバイスで営業改革を!ITmedia エンタープライズ ソリューションセミナー レポート(3/3 ページ)

» 2014年01月15日 11時30分 公開
[ITmediaエンタープライズ編集部,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

iPadで営業の「質」と「量」を高める!

 最後に行われた事例講演では、iPadを活用したアサヒビールの営業改革が紹介された。

 アサヒビールが営業部門の業務効率化を図るべく、スマートデバイス導入を決めたのは2010年末のこと。当時、ビール市場シェア争いが厳しく、同社では人員の効率化や事務所集約などが行われていた。そうした中、厳しい環境で競争に勝つためには営業の生産性向上が不可欠であり、そのための特別プロジェクトが発足。営業の質(提案力)と量(外勤・回訪時間)の向上を目指し、これらを効果的に実現できる環境の整備に取り組んだ。

アサヒプロマネジメント 業務システム部 担当課長の光延祐介氏 アサヒプロマネジメント 業務システム部 担当課長の光延祐介氏

 質の面では、カタログのデジタル化や動画によるプレゼンテーションのほか、外出先でも顧客データベースを参照して過去の営業活動履歴を確認できるようにすることで、提案力アップを狙った。一方、量の面では、移動時間や空き時間を効率的に活用して、営業活動の合間に途中帰社することをなくすように考えた。

 これらを実現するためのツールとして選ばれたのがiPadだ。同プロジェクトを推進した、アサヒプロマネジメント 業務システム部 担当課長の光延祐介氏によると、以前から営業担当者には専用のモバイル端末を配布していたが、「重い」「使い勝手が悪い」などの理由であまり使われていなかったという。

 では、なぜiPadだったのか。その理由として、iOSのセキュリティおよび運用面やタブレットのサイズ感を挙げる。営業日誌を作成したり、プレゼンテーションに活用したりするのに、スマートフォンでは小さくて適さないという。

 iPad導入プロジェクトは、2011年初頭に第1フェーズがスタート。まずは本社の担当者2人がテストし、必要なツールや機能を議論した。2011年9月からは東京エリアで13人がパイロット展開し、その後、2012年4月からは100人に拡大させた。2012年9月には、名阪エリアの250人に対象を拡大し、現在は、神奈川、千葉、京都、福岡などに展開している。

 推進のポイントについて、光延氏は、(1)目的の明確化(2)スモールスタート(3)こだわりと割り切り(4)障壁への対応(5)変化への対応、を挙げる。「単にiPadを配るだけでは何も変わらない。主体的に活用してもらうために、関連部門をいかにプロジェクトの初期段階から巻き込んでいくかが大切。事前にボトルネックを解消する必要があった」と光延氏は話す。

 導入後の成果はどうか。iPadを配布している営業担当者にアンケート調査を行ったところ、半数がほぼ毎日業務で利用すると回答。さらに9割以上が商談に有効なツールであるとし、約8割が空き時間や移動時間に活用していると回答した。「社内稟議の承認や、顧客からの問い合わせなどにクイックに対応できるようになったという声が少なくなかった」と光延氏は述べる。

 最後に光延氏は、今後の展開として、量販部門への配布や、連携する業務システムにSFA(営業支援システム)やCRM(顧客情報管理システム)を加えること、iOSのバージョンアップに対応することなどを示して講演を締めくくった。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ