部下に権限を与えるマネジメントスタイル 日本オラクル・ウイリアムズ社長2014年 新春インタビュー特集

社長就任直後から組織改革に着手。経営層の意思決定の迅速化や、部署を超えたコミュニケーションの活性化などを目指す。日本オラクルのウイリアムズ社長に抱負などを聞いた。

» 2014年02月03日 08時00分 公開
[聞き手:伏見学,ITmedia]

――社長就任後の5カ月間を振り返ってみていかがでしょうか。

 日本経済全体は好転しており、明るい未来があると感じています。そうした中で、日本オラクルが顧客やパートナーに対して“真”の戦略的パートナーになることをテーマに掲げて、この5カ月間、改革を進めてきました。国内の顧客だけでなく、海外進出する顧客に対してもグローバルと連携して積極的に支援していきます。

日本オラクル デレク・エイチ・ウイリアムズ社長 日本オラクル デレク・エイチ・ウイリアムズ社長

 私自身はOracleにおいて最もグローバルなエグゼクティブだといえます。入社してから25年間、ヨーロッパ、アジア、日本の事業にも長らくかかわってきました。顧客やパートナーがグローバル展開する中で、適確なアドバイスをするなどの大きな貢献ができるのではないかと考えています。

――まだまだグローバル展開に苦戦する日本企業は少なくありません。どのあたりが課題になっていると見ていますか。

 日本企業がグローバル化を真に実現するためには、ビジョンやミッションがあり、多国籍な経営陣、経験者をさらに増強していく必要があります。しかし今後、日本市場は縮小する傾向にしかないので、多くの企業ではグローバル化せざるを得ないというニーズが高まっており、強いモチベーションが生まれているのも事実です。実際、多国籍な人材の採用も進みつつあります。

――2001年8月から日本オラクルの取締役を務めてきましたが、日本オラクルという会社をどう分析していますか。

 私が日本オラクルにかかわる前から、既にデータベースビジネスはとても強い事業となっていました。それ以外の事業である、アプリケーション、ミドルウェア、ハードウェアについても成長し始めています。

 Oracleのグローバル全体の中でも、日本オラクルは総売り上げでトップ3に入ります。日本での事業のサイズ、日本経済の規模、今後の事業の方向性という観点から考えても、この勢いは変わらないと感じています。

――Internet of Things(IoT)を2014年の事業戦略のキーワードの1つに掲げています。この分野におけるオラクルの強みは何ですか。

 他社との大きな差別化ポイントは、データに関する経験が豊富であることです。構造化データや非構造化データ、モバイルデータ、M2M(Machine to Machine)データなど、データを扱うという意味では、世界で最も経験のある会社だといえるでしょう。

 加えて、ビッグデータ、ビジネスアナリティクスなどの優れた製品を活用することで、顧客の事業拡大に貢献できます。売り上げというトップラインだけでなく、コスト削減に対しても有効なソリューションを提供します。

サッチャー元首相がロールモデル

――会社を率いるリーダーとして、マネジメント面で心掛けていることはありますか。

 部下にできるだけ権限を与えることが私のマネジメントスタイルです。仕事を進める上で必要な権限が与えられていることは重要で、モチベーションが高まり、成長する機会が増えるはずです。

 また、優れたパフォーマンスだけを評価するのではなく、パフォーマンスが低いことも認識し、改善を促すようにしていくのもリーダーとして大切です。その上で、持続的に高いパフォーマンスを発揮している人材を評価します。例えば、初めて出たオリンピックで金メダルを獲るのは難しいことですが、続けて次のオリンピックでも金メダルを獲得するのはさらに難しいことです。

――理想とするリーダーはいますか。

英国の首相だったマーガレット・サッチャーです。かつて英国の経済が悪化しているときに、効果的な政策を打ちました。英国出身の私にとって、彼女がロールモデルとなっています。

――日本オラクルの組織をこう変えていきたいという、具体的な考えはありますか。

 垂直型の組織ではなく、横同士の連携も重視し、すべてのレベルでコミュニケーション、インタラクションが取れるような組織が必要だと考えています。

 そうした中、社長に就任して早い段階で行ったことは、あらゆるレベルのリーダーが定期的に意見交換を行う場である「リーダーズエクスチェンジ」を立ち上げたことと、エグゼクティブの意思決定をできるだけ迅速化することを目的に、主要な事業、ビジネスユニットの代表者がかかわる定例会議「オペレーティングコミティ」の設置です。

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