オンプレミス型システムは縮小、NECがクラウド基盤製品を世界で展開

クラウド市場はサービス利用型にシフトする――NECは独自予測をもとに、クラウド事業者に焦点をあてた統合型システム製品を展開する。

» 2014年05月20日 16時11分 公開
[國谷武史,ITmedia]
NEC Solution Platformsの新製品

 NECは5月20日、統合型システム製品「NEC Solution Platforms」のクラウドサービス事業者向け新モデルを発表した。北米市場などから順次展開し、2016年度に100億円の売上を目標としている。

 新モデルは、ホスティングサービス基盤の「Cloud Platform for Dedicated Hosting(日本向け名称はCloud Platform Suite データセンターパッケージ)」、OpenStack対応のIaaS基盤「Cloud Platform for IaaS」、Hadoop対応のビッグデータ分析基盤「Data Platform for Hadoop」の3種類。

 for Dedicated Hostingは7月末に北米市場から展開し、価格は50万ドル(約5000万円から)、for IaaSおよびfor Hadoopは12月に北米とアジア太平洋市場から提供する計画で、詳細な仕様や価格は調整中。for Hadoopは一般企業などの利用も見込む。

新モデルの概要

 同日会見した執行役員の福田公彦氏は、NECの独自推計によるクラウドサービス市場予測を紹介。それによれば、2014年まではオンプレミス型システムの市場規模がサービス型システム(クラウド)を上回るものの、2015年以降はオンプレミス型システムが急激に縮小し、2017年には約8割をクラウドが占めるとした。

 これについて福田氏は、「これは厳しく見た予想だが、新興国を中心にクラウド型データセンターの新設が進むため、クラウドサービス事業者を対象としたビジネスに注力する」と述べた。ビッグデータ市場も同様に急拡大が見込まれるため、新モデルではクラウドサービス基盤とビッグデータ分析基盤という特色を打ち出した。

NECが独自に推計したICTシステム市場の予測

 ITプラットフォーム事業部長の西村知泰氏は、クラウドサービス事業者が抱える課題としてデータセンターの増床や電力コストの増大、運用管理の複雑化を挙げ、これらの課題解決に主眼に新モデルを開発したと説明する。

 各モデルとも、同社が今年4月から提供しているIaaSサービスでの最先端の基盤技術を活用している。サーバはIntel Atom プロセッサ C2000シリーズやSSDの採用で、1ラック当たり700台のサーバを収納できる高密度実装を実現し、設置スペースや消費電力を従来に比べて4分の1に削減できるという。冷却装置にはデータセンターの空調電力を約30%削減する独自の「相変化冷却ユニット」を搭載する。

 これらのハードウェアやソフトウェアなどを推奨構成とする統合型製品で提供することで、システム基盤の構築に要する期間が最大6分の1に短縮されるという。導入企業では従来に基盤構築に割いていた人的、時間的なリソースを新規サービスなどのビジネス開発に割り当てたり、迅速なサービスインを行えたりできるだろうという。

高密度実装のマイクロモジュラーサーバ。NECのIaaSサービスでも同様の技術が利用されている

 西村氏よれば、北米市場では大手事業者との先行商談がスタートし、米スタンフォード大学とビッグデータ分野での新たな活用を検討中。欧州・中東・アフリカ市場では販売パートナーとの共同施策を検討しており、アジア市場ではビッグデータ分析での検証がスタートしている。

 同氏は「海外市場には開拓の余地が十分ある」と話しており、同社内で実証済みのベストプラクティスを採用した製品群を投入することで、シェア獲得を狙う。

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