LED照明などからモノへ照射する光にID情報を埋め込むことや、その光に照らされたモノからID情報を復元できる技術を富士通研究所が開発した。
NFCタグやQRコードなどを物体に貼り付けることなく、光だけでモノにID情報を付与したり読み取ったりできる新たな技術を富士通研究所が開発した。同社が11月17日に発表した。
新技術は、LED照明器具などから照射する光に、人間の目には見えない通信情報を埋め込むことで、照明に照らされたモノに情報を付与する。逆にこの光をスマートフォンなどのカメラで撮影すれば、付与された情報を見ることができる。従来のようにQRコードなどを物体に貼り付けて、カメラで情報を読み取る必要がない。ユーザーはカメラをモノに向けるだけで、さまざまな情報を取得できるようになる。
同社によれば、近年はスマートフォンやタブレット端末が普及し、クラウドサービスにアクセスしやすい通信環境になっている。ユーザーが目の前にあるモノについて、その場で検索して関連情報を入手するシーンが当たり前になった。しかし、従来はモノを識別するためのNFCタグやQRコードなど直接貼り付けなければならず、美観を損ねたり、情報の読み取りができる端末に制約があるなどの課題を抱えていた。
開発された技術は、「色変調による情報埋め込み技術」と呼ばれる。LEDは、赤・緑・青(RGB)の3つの色の光を合成してさまざまな色の光を照射するが、この照射する各色成分から発する光の強弱を時間方向で制御し、わずかに変化させることによってモノを識別するID情報を表現する。1つのLED照明につき、付与できるID情報は1つ。
また、RGBの各波長に埋め込んだ信号は、反射時に一部が吸収されることによって弱くなってしまう特性があるため、カメラで撮影した映像に対して反射を考慮した補正を行うことによって、情報の検出精度を高めることに成功している。
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