企業で働く者として、私たちは今後対応に迫られるであろうさまざまな経済的、社会的な変化に直面しています。第2回目は、これにまつわる「3つの変化」にフォーカスし、その変化がなぜ重要なのかを考えてみます。
前回は、ワークスタイル改革という言葉が示す意味と基本的な考え方を確認しました。
今回は、今後私たちが直面するであろう重要な社会経済環境の変化を整理しましょう。
ここでは3つの変化にフォーカスし、それらの変化がなぜワークスタイル変革において重要なのかを考えてみたいと思います。
1つ目は「グローバリゼーション」です。すでに国境間の壁は取り払われ、世界中の企業との競争にさらされるようになったことは否定しようがありません。特にコスト競争力があり、労働力が潤沢にある新興国の成長は、私たち先進国は大きな脅威ととらえています。こういった環境でどんな手を打たねばならないのでしょうか。
2つ目は「労働に関する概念の変化」です。現代社会では「労働時間が価値に必ずしも比例しない」という特徴があります。例えば、工場で働くケースにおいてはこれらが比例関係にあると言えても、昨今では経験やノウハウを基礎にして「新たな価値を創造すること」が求められており、多くの労働はこういった特性を持つようになっています。
まず、これら2つの大きな変化を考えると、いかにイノベーションを創出できるか(いかに他がまねできないことをするか)、いかにビジネスの生産性を高められるのかということが求められてきます。さらに、このイノベーションの創出や生産性の高いビジネスを遂行するには、高度な専門知識を持った優秀な人材が必要になります。ですから、そのための人材の獲得競争も同時に始まることになるわけです。
続いて3つ目の変化は「人口減少にともなう労働力の低下」です。日本は人口減少のさなかにあり、すでに超高齢化社会に突入しました。この状況では、国家としてはGDPが落ち込むわけですが、企業で言えばビジネスボリュームの低下が懸念されるということになります。
そして企業や組織は、これまで企業に対しては労働力を提供していなかった専業主婦の方や、すでに退職された方などにも働いていただくことで労働力の減少を抑えていくことになります。女性の活躍推進と呼ばれているものは、まさにこのテーマを含んだ取り組みだと言えるでしょう。
また、国内に限らず、海外から優秀な人材を採用するという対応も必要になってきます。つまり、多様な人材を積極的に活用するという「ダイバーシティへの対応」が求められるということになります。
さらに、このダイバーシティは優秀な労働力の確保という視点だけでなく、ビジネスのグローバリゼーションへの対応やイノベーション創造の促進を実現するという目的で取り入れられている経営手法でもあります。
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