基本的なことではありますが、進捗報告は「プロジェクトを計画通りに進めるため」に行うものです。プロジェクトの現状を把握し、計画とギャップがあった場合に人を増やしたり、計画自体を見直したりして、納期に間に合うようにプロマネが調整していくための作業です。
しかし、進捗報告の目的や、その後のプロマネの仕事が理解できていないと「“進捗通りです”と言うため」の会議となり、無理なつじつま合わせや結果的にウソの報告をしてしまうメンバーが出てくるのです。
「チームの定例会議」や「日々の報連相」をやること自体は悪くありません。その際に、キックオフや会議、個別面談などでそれを周知するのは、“ルール化”という面で非常に有効でしょう。その際には、まず「進捗報告の目的を正しく伝える」ことが必要です(特に若手や情報を上げてこないメンバーに対して)。これがきちんと情報が集まるチームへの第一歩です。
二歩目は「マネジャー側のリアクションを統一すること」です。
よい報告も悪い報告もあると思いますが、どのような内容でも、冷静に聞く姿勢を保つことが大切です。「進捗報告の目的」を踏まえ、悪い報告もあげようと思ったメンバーが、たまたま機嫌が悪かったプロマネに一喝されたら……。悪い報告どころか、コミュニケーションそのものの量や質が、減少してしまうことになりかねません。
以前の記事でも触れましたが、感情に振り回されずに適切な対応を取れるよう、柔軟な心を持つこともプロマネには大切な姿勢と言えます。
最後の3歩目は「プロマネ側からも報連相をする」ことです。報告、連絡、相談をするのはメンバー(部下)だけではありません。
例えば、メンバーからの報告で作業の遅れが分かった際に、“調整して人を増やすよ”とプロマネが言ったのに、一向に人が増えない、あるいは、何の予告も突然メンバーが増えた――。このように、メンバー側のアプローチに対して、話を引き受けたが結果を報告しない、ということはありませんか。
メンバー側から「あのー、あの件ってその後どうなりましたか?」と言われるようでは、自分から報告しない“困ったちゃん”と同じです。決まったこと(決まらなかったこと)についても、プロマネ側から積極的に報告するようにしましょう。
この段階まで進めば、“正しく報連相する”文化はほぼ整ったと言えます。プロマネが「何でも言ってね」と言わずとも、情報が手元に集まりやすくなるはずです。
とはいえ、集める情報は“何でもかんでも”というわけにもいきません。情報が多すぎてもマネジャーは疲弊してしまいます。「話す内容を整理してほしい……」という次のフェーズのモヤモヤが出てくるかもしれません。次回は「情報整理」のスキルについてお話しします。
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師
大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気付く。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。
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