「さっぽろ雪まつり」でオープンデータの実証実験、札幌市の狙いとは?(3/3 ページ)

» 2016年01月21日 07時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]
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「オール札幌でデータを提供していく」

 実験を行うにあたり、日本マイクロソフト、YRP UNLに加えて有識者、総務省、札幌の協力機関としてオープンデータを活用した情報サービス開発の推進、オープンデータを活用した情報サービスの利用促進を行う22団体が参加する「札幌オープンデータ協議会」が発足した。今後は協議会がオープンデータの提供や、ハッカソンなどイベントの主催を行うという。

 札幌市の秋元市長は、「協議会では民間企業も含め、オール札幌体制でさまざまなデータを提供していく。このデータを使ったアプリを通して、札幌の魅力をより多くの外国人観光客の皆さんに感じてもらえれば。ハッカソンも東京の方に参加していただいている。さまざまな人を巻き込んで札幌観光をよりよいものにしていきたい」とコメントした。

photo 札幌オープンデータ協議会の構成

 総務省としてもこの取り組みに期待するところは大きい。今回の実証実験では、オープンデータのメリットが“可視化”されることが大切なポイントだという。「多くの人にオープンデータを活用してもらい、他の地方自治体が続くようなモデルケースになってほしい」(総務省 北海道総合通信局長 安井哲也氏)

ITによる「おもてなし」が求められている

 日本マイクロソフトの樋口泰行会長は、今回の実証実験の狙いについて「外国人観光客の増加に対して、通訳の人が足りないという問題が既に出てきている。昨今はクラウド、AI、ロボティクスなどが合理的なコストで活用できるようになってきており、ICTを活用した“おもてなし”のニーズは高まっている」と語った。

 YRP UNLの坂村氏も「ITを使って“また来よう”を生み出せるかどうかにチャレンジする。観光客にとっては、リアルタイムで必要な時に必要な情報を提供されるのが理想だろう。データを集めるのは大変かもしれないが、オープンデータは必ずさまざまな人を救うし、イノベーションを起こせる」と“おもてなし”の重要性を説いた。

 今回の実証実験は3月で終了するが、札幌市としてはこうしたオープンデータへの取り組みを、2016年度以降も続く、継続的な事業にしたいという。

 「今まで観光×ITの分野はテクニカルな面があり、踏み込めていなかったのは事実。今回の話があるまでITについて勉強することもなかったが、今は大きな可能性を感じている。これからはより多くの人を巻き込んで助けを借りる、オープンデータのようなアプローチが自治体には不可欠だろう」(同市観光企画課 岩立氏)

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