“相手と対等”だという意識も重要です。発注元だから、親会社だから、下請けだから、年下だから――そんな風に考えて交渉や調整ごとに臨んだことはありませんか? そういう意識では、ポジションパワーの高い方の要求に合わせた結論になりやすく、いずれかが納得できない結果になるのがほとんどです。
「立場は違えど、共通の問題(課題)を解決するパートナーである」という意識を持つことがよい交渉、よい調整のスタートラインといえるでしょう。
こうした交渉や調整においては、納得感が得られるか得られないかが、この後の仕事や関係性に大きな影響を及ぼします。納得できずに終わった方は、決まりごとを守るモチベーションが低くなってしまうからです。お互いに納得感を得る結論を出すために必要な姿勢が、互いに対等ということです。納得感を出すためにどうすればいいかは、後々の記事でご紹介します。
そして3点目、調整ゴトやいわゆる“いざこざ”は、基本的に早期解決がお約束です。特に人間関係に関わるいざこざは、後になればなるほど対処が難しくなり、新たなトラブルを生み出しやすくなります。
トラブルが積み重なると「あの人は前のプロジェクトで一緒だったけど、合わなかったから一緒のチームになりたくない」「あのプロマネの仕事の進め方が気にくわない。言うことを聞きたくない」など、プロジェクトを進める以前の問題に発展しかねません。
本来、交渉や調整というのは、前向きに決着すればリターンは大きいものです。例えばユーザーとの交渉や調整ごとなら、ユーザーからはもちろんメンバーからの信頼を得ることにつながりますし、人間関係のいざこざを乗り越えれば、本音で話し合える関係を強化できるでしょう。だからこそ、早め早めに手を打つことが必要なのです。
次回からは、調整や交渉における具体的なシーンと対処するためのスキルをみていきます。お楽しみに。
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師
大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気付く。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。
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