ゆうちょ銀行は、情報系システムにフラッシュストレージを導入し、データ読み出し時間を大幅に短縮した。
データの読み出し時間、従来の半分以下に――。ゆうちょ銀行がフラッシュストレージの導入で業務の効率化を実現した。
ゆうちょ銀行は、最大規模の口座数を保有する国内の金融機関。同行では、新商品やサービスの拡充、新しい法制度への対応などに伴い、データの処理件数が増加し、システムへの負荷が増加傾向にあった。
システム負荷の増加への対処として、アプリケーションを修正する方法も検討したが、多大な時間と工数がかかるため、短期間で効率的にシステム性能を改善する方法が求められていた。
今回のフラッシュストレージの導入では、情報系システム上のアプリケーションを修正することなく、システム処理性能の向上を実現できたという。また、データの利用頻度に基づいた優先順位付けを行い、優先度の高いデータを既存のHDDからフラッシュストレージに移行したことで、導入・運用コストの抑制も実現した。
ゆうちょ銀行が採用したフラッシュストレージは、日立のストレージシステム「Hitachi Virtual Storage Platform(以下、VSP)G1000」に、フラッシュモジュール「Hitachi Accelerated Flash」(以下、HAF)を搭載したもの。今回の導入に当たっては、日立のデータベース高速化ソリューション「Flash Solution for Oracle」を活用している。
情報系システムで利用しているOracleデータベースでのHAFの導入効果を机上シミュレーションで検討し、日立のテスト環境を使って導入効果の実機検証を実施。これにより、性能改善効果の高いシステムを短期間で導入できたという。
昨今、金融機関ではさまざまな顧客サービスが展開されているため、勘定系のみならず情報系システムの性能向上が急がれている。ただし、フラッシュストレージがそのニーズに応えることを予想はできても、「自社環境でどれくらいの効果があるのか本当のところを確かめたい」という要望は強く残る。
段階的ではなく、一気に新技術を導入して時間とコストを節約したい場合、今回のような机上シミュレーションと実機検証は、ますます重要な取り組みとなるだろう。
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