リクルートグループでは、AIや機械学習の使い道に2つのトレンドがあるという。1つは、顧客向けのサービス向上に使うアプローチだ。
同社が展開する各サービスのビジネスモデルの根幹には、住宅や結婚式場などの広告主と消費者のマッチングがある。そのコンバージョン率を上げるには、ユーザーのニーズに合う情報をいかに見つけやすくするかがカギになる。そこで、レコメンドの仕組みや画像を使った検索、チャットによるサポートシステムなどに、機械学習が使われるようになってきた。
もう1つのポイントは、社内の業務効率化。代表的な例は「原稿チェックの自動化」だ。さまざまな広告メディアを運営する同社では、大量の原稿が日々作られる。校正や校閲をITでサポートすることで、人間の手間が大幅に軽減されているという。ほかには提案資料の自動作成など、営業マンの業務を支援するシステムについても研究、開発を進めている。
直近で、サービス向上と業務効率化という2つの効果を1つのソリューションで実現したのが、中古車情報サイト「カーセンサーnet」における「内装色検索」だ。中古車を探す人の中には、内装の色で検索したいというニーズがあることが分かったが、それを実現するには、各中古車の情報に内装色のデータを加える(タグを付ける)必要があり、人力でやるのは手間がかかるため手が出せずにいた。
そこで、画像を機械学習で解析し、登録車の写真から内装の写真を判別し、その写真からシートの色を抽出してタグ付けするまでを自動で行えるようにしたのだ。リクルートテクノロジーズでは、2015年にディープラーニングを用いた画像検索システムを発表しており、「ホットペッパービューティー」でネイルデザインのカラー検索機能などに導入していたが、同じ機械学習エンジンを応用したものだという。
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