日本オラクル、大阪リージョンをやっと開設 競合への「差別化ポイント3つ」とパートナーへの影響は

日本オラクルが新たに大阪リージョンの運用を開始した。2019年5月に開設した東京リージョンと同等の機能を持ち、東西日本の顧客をカバーする。既に東京、大阪に拠点を開設したクラウドベンダーがひしめく中、同社の戦略はどこを向くのか。

» 2020年02月04日 11時31分 公開
[阿久津良和ITmedia]

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 日本オラクルは2020年2月3日、「Oracle Cloud」の国内第2拠点となる大阪リージョンの運用を開始したことを発表した。国内第1拠点の東京リージョンは2019年5月に開設済み。大阪リージョンは東京と同様に「Oracle Autonomous Database」からOracle Cloud Applicationsまで全機能を提供する。

 同日行われた記者会見で、同社のケネス・ヨハンセンCEO(最高経営責任者)は「(東京と大阪)2つのデータセンターを構築したことで、データを日本にとどめることを保障する」と、データの所在地を重視する企業や公共部門といった潜在顧客に対してアピールした。

日本オラクルのケネス・ヨハンセンCEO(最高経営責任者)

 既に複数のクラウドベンダーが、日本の東西2拠点にデータセンターを開設している。例えばAWS(Amazon Web Services)は2011年3月に東京リージョン、2018年2月に大阪ローカルリージョンを開設し、2021年初頭に大阪リージョンに格上げする予定だ。Microsoft Azureも2014年2月に東京、大阪の東西リージョンを開設し、GCP(Google Cloud Platform)は東京リージョンを2016年11月、大阪リージョンを2019年5月に開設した。日本オラクルは彼らの後を追いかける形になるが、東京リージョン開設からわずか9カ月で大阪リージョン開設に至った。

“クラウドファースト”戦略は実を結ぶか 大阪リージョン開設には早くも顧客が移行

 ヨハンセン氏は「(自社の)リソースの半分を顧客のクラウド移行に注力している。大阪リージョンへの投資は日本でのビジネス成長を期待しているからだ」と語る。同社の大阪リージョンは2020年1月末から限定的に稼働し、既に複数の顧客が利用を開始している。

 そのうち、家電量販店チェーンのエディオンは、基幹システムで稼働させていた「Oracle Exadata」からOracle Cloudへの移行を進め、医療関連システムを開発するソフトマックスは、オンプレミスでは導入が難しい中小規模の病院に「Oracle Cloud Infrastructure」を使って自社の電子カルテソリューションを展開する。また、京都市を本拠地に健康、美容向け器具の製造販売を手掛けるファイテンは、通信のレイテンシを低く抑えられることから、大阪リージョンの開設を機に基幹システムを「Oracle Database Cloud」へ移行すると表明した。

既に競合がひしめく“クラウド大阪の陣” Oracle Cloudが勝機を作るカギは

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