MAツール「List Finder」の基盤がAzureに全面移行 AWSから乗り換えた理由とは?(1/2 ページ)

クラウド型MAツール「List Finder」のサービス基盤にMicrosoft Azureが採用された。もともとはAWSを使っていたという彼らが、わざわざAzureに乗り換えた理由はどこにあるのだろうか。

» 2018年04月02日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 テレビ番組で自社の製品が取り上げられ、アクセスが集中。Webサイトに大きな負荷がかかり、対応を迫られた――。ビジネス的にはうれしい悲鳴だが、情シスとしては悲喜こもごもといった状況だろう。こうした話は、ECサイトや通販サイトではよくある話だが、マーケティングオートメーション(MA)ツールにも大きな影響を与えるのだという。

 クラウド型マーケティングオートメーション(MA)ツール「List Finder」を展開しているイノベーションも、こうした予期せぬトラフィックの処理に苦慮していた。

 List Finderは、一括メール配信やフォームの作成など、さまざまな機能を備えており、法人営業のプロセスのうち「見込み客情報入手」「見込み客育成」を支援するが、Webサイトへのトラフィックを分析し、アクセス元の企業を割り出すといったサービスも行っているため、アクセス増によって、システムに大きな負荷がかかっていた。

photo マーケティングオートメーションツール「List Finder」

サービス基盤をAWSからAzureへ乗り換えた理由

photo イノベーション 執行役員 技術開発本部長の矢ヶ崎哲宏さん

 「基本的にはお昼前や退勤前の16時〜17時にトラフィックのピークが来るのですが、テレビ番組によって20時や21時にスパイクがあると、対応に苦慮します。こちらとしてもサポート体制が薄い時間帯なので」(同社執行役員 技術開発本部長 矢ヶ崎哲宏さん)

 従来はアラートが出てから手動で対応していたため、どうしても「後手に回ってしまっていた」という同社。こうした突発的なトラフィック対策には、クラウドが有効だ。先日、List Finderのサービス基盤がMicrosoft Azureに全面移行すると発表された。しかし、もともと同社はAWSを利用していたそうだ。

 2010年のサービス開始当初は、オンプレミスで稼働させていたList Finderだが、2015年からAWSに切り替えた。そこから、さらにAzureへと移ることになったきっかけは2017年夏。両社が共同でマーケティング活動を行う話が持ち上がった際に、日本マイクロソフト側から移行を持ちかけられたことだ。

 提案を受けた矢ヶ崎さんは、AWSとAzureの比較を始めた。「価格的には大きな差はなかった」とのことだが、試していくうちにAzureの有利なポイントや、さらなるシステムの改善への道が見えてきた。そして2017年末には新システムの大枠が決まったという。

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