繰り返すが、「いろいろな仕事をする」というのは、「好き・嫌い」「強み・弱み」「得意・不得意」を見極めるためだ。だから、ボケっと仕事をしてはだめだ。
適当に流した仕事は、仕事ではない。単なる「動作」だ。単なる動作からは何も得られない。何も考えず、「石を右から左に移動させる」動作をしても、あなたの体力が消費されるだけだ。
同じ「石を右から左に移動させる」ことでも、工夫して全力を投じてみると、それは単なる動作ではなく、仕事になり、そこに感情が生まれる。
こんなことを考えるきっかけが生まれる。なお、これに関しては、以前「私の働き方と人生を一変させた、ある先輩の痛烈な一言 」でも少し触れている。
前述の通り、「いろいろなことを全力で経験をする」ことで、「好き・嫌い」「強み・弱み」「得意・不得意」を見極められる。そして、これは「仕事」の単位ではなく、「作業」の単位で見極める必要がある。
「会計の仕事」「広告の仕事」「コンサルの仕事」と一口にいっても、それは無数の「作業」で構成されている。仕事の構成要素である「作業」に注目すべきなのである。
例えばコンサルの仕事には、
など……という感じで、無数の「作業」が含まれる。これらが積み重なって「コンサルの仕事」になるのだが、普通は、これら全部の作業を「好きで得意」な人はないないだろう。この中の特定の作業が「好きで得意」なだけだ。
そして、人は、「好きで得意な作業」が多く含まれている仕事を、「やりたい仕事」と感じるのだ。「好きな仕事」というものが先にあるわけではない。
つまり、「どの作業が好きで、どの作業が嫌いなのか、それはなぜか?」「どの作業だとパフォーマンスが上がり、どの作業は質が低くなるのか、そしてそれはなぜか?」――これを見極めないとダメだ。
そして「作業」には、それぞれ「状況」が加わってくる。嫌いな「作業」でも、「状況」次第でハマる可能がある。場合によっては、「好みの状況」をつくり出せれば、作業は何でもOKになる可能性もある。
「状況」は、下記のように、さまざまなものがある。
そして状況に応じて、「好き・嫌い」「得意・不得意」「パフォーマンスが出る・出ない」があるのだ。
例えば僕の場合、「目に見えるアウトプットが出る状況が好きだと思っていたが、誰かが心底喜んでくれる状況の方が好き」だった。「混沌とした逆境でこそパフォーマンスが出ると思っていたが、ゴールや目的がハッキリしているときの方がパフォーマンスが発揮される」ことが分かった。
(3)の「好きな作業」と(4)の「好きな状況」「パフォーマンスが出る作業・出ない作業」を、ひたすらに書き出しておくといい。何か新たな経験をしたときがチャンスだ。そうすると、自然と「好きな作業」「好きな状況」に向き合えるようになる。
ただし、(1)の「いろいろな仕事をする」と(2)の「工夫して全力を投じる」をやってないと、「好きな作業」「好きな状況」は上っ面なものになる。(1)(2)の体験・経験があるからこそ、(3)(4)の精度がぐっと上が上がるのだ。
僕は今でも、定期的にこれらを自問するようにしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.