開発のパートナーは、国内大手を中心に4社から提案を募って選定した。AI導入は開発に入る前のコンサルティング費がかさむケースが多いが、スモールスタートで始めたかったことから、スタートアップ企業の「AI inside」を選んだ。同社とは、OCRを利用した契約書の自動入力システムを共同開発していた経験もあったことも決め手になったという。
とはいえ、AI insideも不動産業界の業務を完全に理解しているわけではなく、レオパレス21もディープラーニングについて完璧な知識を持っているわけではない。双方の知識に対する理解には、しっかりと時間を使ったそうだ。
「当社はAIに対する知識が不足しており、一方のAI insideについては、間取りの並び方など、不動産業界における一定のルールを理解してもらうところから始めたので、その点については時間がかかりましたね」(コーポレート業務推進部 田所直樹さん)
AIの開発は2段階に分けて行ったという。まずは、外部から購入していたモデル賃料を「教師データ」とし、これまでレオパレス21が賃料を設定する際に用いたデータや、立地条件、物件の周辺情報といった要素を用い、はじき出された値が教師データに近づくようなアルゴリズムを開発した。
その後、レオパレス21独自の項目(LEO-NETや家具家電付きなどの要素)を追加学習させ、算出したモデル賃料の精度向上に努めた。賃料の設定に必要なデータは基幹システムに保存されていたため、開発はスムーズに進み「目立った障害はほとんどなかった」という。
経営陣からの指示で、全社横断的にAI活用を進める風潮があったため、大塚さん、田所さんら業務推進部門以外にも、AI開発に強いシステム部門のメンバーなど、社内の各部署から適任のプロジェクトメンバーを集めたチームが編成できたという。「開発を始めてから、テスト版のリリースまでは半年ほどだった」(田所さん)そうだ。
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