基幹業務システムのクラウド移行が本格化するのか――日本オラクルが語るデータベースユーザーの動向Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2020年02月10日 14時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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日本オラクル幹部が語るデータベースユーザーの動向

 また本多氏は次のように語った。

 「中堅・中小規模のお客さまも、私どもが国内のDCを拡充したことで、クラウド移行への手応えを感じている。ただOracle Databaseについては、特に中堅規模のお客さまで『クラウドではきちんとパフォーマンスが出せないのではないか』との懐疑的な見方が多かった。今回はそうした面でもOracle Databaseを支えるIaaS(Infrastructure as a Service)を一層強化している。実際に動作を試していただいたお客さまからは非常に高い評価を得ている」(本多氏)

 本多氏はさらにこんなことも語った。

 「クラウド事業は、先行したクラウドベンダーに対してOracleが少々出遅れたこともあり、日本でもOracle Databaseを含めた自社のITシステムを早くクラウドで使いたいお客さまが、先行したクラウドベンダーのユーザーになってしまった動きがあった。だが当社が国内でデータセンターを開設してから、そうしたお客さまがOracle Cloudに乗り換えるケースが相次いでいる。なぜか。お客さまによると、Oracle Databaseを使う上でコストパフォーマンスに大きな差があることが分かったからだ。こうした点を私たちとしてももっとアピールしていかなくてはいけないと考えている」(本多氏)

 本多氏も竹爪氏も「クラウドへの移行に向けて機運は高まってきた」と口をそろえるが、それでも筆者はOracle Databaseユーザーのクラウド移行への腰はなかなか重いと見ている。それに、そもそも日本オラクルもERP(統合基幹業務システム)などのアプリケーションのクラウド化を熱心に促しているが、Oracle Databaseは企業に対してクラウド化を強く促すことはない。同社は企業が他のクラウドベンダーや他のデータベースに乗り換えることだけは避けたいので、企業の意向を丁寧に聞く姿勢だ。

 竹爪氏はこの点について、次のように語った。

 「もちろん、お客さまの意向が大前提だ。最近になって強く感じているのは、お客さまにITインフラやデータベースからなる『プラットフォームの管理疲れ』があることだ。例えば、クラウドに対する質問を見ると、かつてはコストをどれだけ削減できるかという内容が多かった。今では運用をどこまで任せられるのか、その際の品質はどのように担保するのか、セキュリティ対策はどうなっているのか、といった具体的な内容がほとんどだ。こうした質問の内容こそが、クラウド移行へのモメンタムを示しているのではないか」(竹爪氏)

 プラットフォームの管理疲れについては、本多氏も次のように話した。

 「プラットフォームの管理疲れは、中堅・中小規模のお客さまのほうが大手よりも一層深刻かもしれない。なぜならば、自社のITシステムを専任で管理する人がいないケースが多いからだ。だからこそ、私どもの最新データベースで運用管理を自動化できる『Oracle Autonomous Database』が、特に中堅規模のお客さまに受け入れられるようになってきている。この最新データベースはクラウドから利用できるので、この機会にインフラも含めてクラウドへ移行するお客さまが増えてきている」(本多氏)

 本多氏はさらに、Oracle CloudのIaaSについてこう強調した。

 「Oracle Databaseのパフォーマンスを最大化し、管理を最適化できるのは、Oracle CloudのしっかりしたIaaSがあるからだ。とはいえ、このIaaSはOracle DatabaseやOracleのクラウドアプリケーション向けだけではなく、オープンソースソフトウェアでもカスタムアプリケーションでも快適に利用できるインフラとなっている。実際、私が担当している中堅・中小規模のお客さまの3分の1は、Oracleのソフトウェアを使わずIaaSだけを利用している。日本企業のITシステムのクラウド化はIaaSから入るケースが多い。Oracleもクラウドのフルサービスを提供するからには、IaaSでも確固たる存在感を発揮したいと考えている」(本多氏)

 どうやらOracle Databaseの既存のユーザー基盤に変化が起きようとしている。つまり、エンタープライズ市場全般における基幹業務システムのクラウド移行だ。さらにOracleのクラウド事業戦略に目を向けると、本多氏のコメントにあるように、同社はIaaSでも本気で先行するクラウドベンダーに勝負を挑んでいく構えだ。

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