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» 2020年04月08日 07時00分 公開

企業PCの設定やセキュリティ、トラブルまで対応――MSが「DaaS」を後押しする理由

企業に最新のPCやアプリケーションを“サービス”として提供し、運用管理やアップデートを事業者が丸ごと引き受ける「Device as a Service」(DaaS)が、日本の企業向け市場へじわじわと進出しようとしている。そのメリットや新しさとは何なのか。事業に関わる日本マイクロソフトにインタビューした。

[谷川耕一,ITmedia]

 今、さまざまなビジネスが「モノを売る」形態から、「モノを使って得られる価値を提供する」サービスへ変わろうとしている。

 IT業界でもその傾向は顕著で、さまざまな“as a Service”が登場している。その1つが「Device as a Service」(DaaS)だ。PCなどのデバイスを販売するのではなく、サービス化し、サブスクリプション型ライセンスで利用できるようにする。

 多くの企業にとって、これまでは従業員用のPCを購入するか、あるいはリース企業から借りてキッティングなどを施し、社内の情シスがソフトウェアアップデートやセキュリティ管理などを担う形が一般的だった。一方、DaaSの場合は、手元に届いたPCをユーザーが開けばそのまま使える状態になっていて、アップデートや運用管理もサービス提供元が引き受けるケースが多いようだ。

 DaaSに対する市場ニーズはかなり高いようだ。MM総研は「2023年までにDaaSでのPC利用が35%程度になる」と予測している。その鍵を握るDaaSの新しさやメリットとは何なのか。

最新のハードウェア、ソフトウェアを常に使えるDaaSの価値

 DaaS市場に期待を寄せる企業の1つが日本マイクロソフトだ。同社は直接DaaSを提供するわけではないが、パートナー企業経由で、OSの「Windows 10」はもちろん、「Office 365」「Microsoft Surface」などを生かしたサービス提供を後押しする。

 同社の梅田成二氏(執行役員 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長)は「PCなどのデバイスを所有すると、購入した瞬間からその価値は下がっていきます。一方でデバイスがサービス化されれば、ユーザーは常に最新技術を使えるようになり、デバイスそのものではなく技術進化によるメリットに対価を払うことになります」と話す。DaaSであれば、常にハードウェアもソフトウェアも最新のものを利用できる点は、重要なメリットといえそうだ。

日本マイクロソフトの梅田成二氏(執行役員 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長)。Web会議で編集部の取材に応じてくれた

 DaaSはもともと、中堅・中小企業や遠隔地にある倉庫など、専任のIT担当者がいない組織に向けたサービスという印象を持たれがちだった。確かに、そうした組織にとって、デバイスの運用管理をアウトソースし、管理の手間を削減できる点はDaaSのメリットだ。ただし「常に最新技術を使えるようにする」という意味では、企業規模の大小に関係なく価値を生むサービスといえる。

 また、昨今普及が進むテレワークも、DaaSのメリットを受けやすい。多くの企業は、PCをいったん購入してしまえば、5年ほど使い続ける。ところが、そうした企業が新型コロナウイルス対策でいきなりテレワークを導入し、5年前の古いPCでWeb会議に参加しようとすると、スペックが足りずにうまく会議に入れないことがある。

 「DaaSであれば、常に最新のPCやアプリケーションを利用できるので、Web会議も快適です。例えば、最新の『Microsoft Teams』には、外国人の会議参加者が英語で話した内容をリアルタイムに翻訳し、字幕表示する機能があります。わざわざ自分からアップデートしようとしなくても、DaaSにはこうした最新機能を常にユーザーに届ける特長があります」と梅田氏は言う。

 もちろん、PCを使う従業員だけでなく、情シスの担当者にもメリットはある。例えば、2020年1月に「Windows 7」のサポートが終了した。これに対応するために50台、100台といったWindows 10対応PCを新たに購入し、PC環境を一気に刷新した組織も多いだろう。こうした作業には多くの手間やコストがかかる。情シスだけでは作業の手が足りず、応援を要請した組織があったかもしれない。

 一方、DaaSであれば、PCの設定や業務で利用するアプリケーションのインストールなどは、全てアウトソースのサービスで対応してもらえる。手間のかかる作業を外部に任せることで情シス担当者には余裕が生まれ、より高度な課題に集中できるようになる。

日本マイクロソフトはDaaSについて、テレワーク需要への対応から経営の効率化、セキュリティなど、多角的なメリットを見込んでいる(出典:日本マイクロソフト)

 「最近クラウドの利用が進んでいますが『どのシステムをクラウドに持って行き、どのシステムはオンプレミスに残すべきか』といった判断は、かなり難しいものがあります。Office 365のようなサービスを利用すれば運用管理の手間は減りますが、個人情報を扱うシステムは簡単にはクラウドに持って行けません。日常的な運用管理コストや手間の削減だけでなく、情シスの担当者には考えなければならないことがたくさんあるのです」と梅田氏は話す。そのための時間を作る方法の1つが、DaaSの活用というわけだ。

DaaSをOSの進化が後押し――Windows 10アップデートに加わった新機能とは?

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