ハイブリッドITのインフラとして期待が高まっているHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)。だが、デル幹部の話によると、さらなる新たなトレンドが追い風になりそうだ。
「新しい音楽には新しい踊りが必要だ」――。デルとEMCジャパン(以下、Dell Technologies)が先頃オンライン形式で開いたハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)新製品の記者発表会で、デルの上原宏氏(インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部 本部長)は、ネイティブアメリカンの言葉を引用してこう切り出した。
同氏は、冒頭の言葉を引用した意図について「昨今のさまざま状況の変化を踏まえ、企業において新たなITの活用形態が求められている。そのニーズに対応するためには、新たなITの道具立てや活用方法が必要になる」と話す。(図1)
その「新しい踊り」として、同社が今回発表したのが、HCIの戦略商品「Dell Technologies VxRail」である。その内容については発表資料をご覧いただくとして、本稿では上原氏が会見で説明したHCIの最新動向にフォーカスして取り上げたい。
まず、HCIの概要と特徴について少々おさらいしておこう。HCIはサーバ、ストレージ、ネットワークという3層構造のインフラを廃し、サーバに搭載したストレージを仮想的に集約して利用することで、ストレージとサーバ間のボトルネックを解消する。また、ネットワークも仮想化し、全てをソフトウェアによって管理する。
図2が、従来の3階層アーキテクチャとHCIの構造の違いを端的に表したものである。上原氏は図2を示しながら「HCIはスモールスタートながらワークロードが増えればスケールアウトも可能。まさに未来のITインフラの姿を集約したものだ。国内のIT市場でも活発な領域の1つとなっている」と説いた。
ちなみに、IDC Japanが先頃発表した国内ハイパーコンバージドシステム市場の動向(IDCではHCIではなく、ハイパーコンバージドシステムと表現している)によると、2019年の同市場の支出額は450億8300万円で前年比40.4%の高い成長率を記録した。IDC Japanは、同市場の2019〜2024年における支出額の年間平均成長率を11.2%と予測。向こう5年間はフタ桁成長すると見込んでいる。(図3)
IDC Japanはこの予測について、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、企業規模や産業、地域ごとで成長性に差が出るかもしれないが、全体としては普及拡大が続く」との見方を示している。
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