レヴィ氏は「AIがコンテンツ関連業務を一変させる」と言い、そのポイントとして次の3つの動きを挙げた。
こうした動きを踏まえ、レヴィ氏は「いよいよインテリジェントなコンテンツ管理の時代の幕開けだ」と宣言し、図4を示しながら「Boxは図の左上の『作成』から右回りでつながるコンテンツのライフサイクルを1つのプラットフォームとしてAIを組み込んだ、最先端のインテリジェントなコンテンツクラウドを提供する」と力を込めた。
そして、Boxのサービスのここまでの道のりと広がりを「ファイルの共有とコラボレーション」「コンテンツ管理とセキュリティ」、そしてこれからを「ワークフローの自動化とインテリジェンス」といったキーワードで示しながら、「第3章の幕開け」であることをアピールした(図5)。
図6は、Boxのクラウドによるコンテンツプラットフォームの全体像だ。ポイントは幅広い業務アプリケーションと連携でき、AIプラットフォームの「Box AI」でも幅広い生成AIを利用できることだ。Box AIについては、同社が2023年5月に発表した際に取り上げた本連載記事「ChatGPTを『社内で安全』に使うには――Boxの取り組みから考察する」(2023年5月22日掲載)を参照いただきたい。
ちなみに、Boxのサービスは現在、世界で11万8000社、日本で1万8000社に利用されており、とりわけ日本では5年前と比べて3.5倍に増えたという。これは同社のサービスが日本企業に広く受け入れられ、活用事例も豊富にあることを示している(図7)。
今回の基調講演で筆者が注目したのは、社内に蓄積してきたコンテンツをAIによってナレッジとして生かすことができるならば、まさしく個人の生産性向上を全社組織の生産性につなげる格好の機会になるという点だ。
ナレッジはその企業や組織特有のものであり、そこから生成AIを使ったアイデア創出を繰り返すことで、どんなものを生み出せるようになるのか。状況によっては必要な専門情報を外部から取り込んでもいい。要は、ナレッジを生かし続けられるように自社で「ナレッジを育てていく」という取り組みも重要になるだろう。
さらに、企業はこれを機に、個別の業務アプリケーションだけでなく、社内のナレッジをクラウドベースで活用できるように、全社を挙げてクラウド化を進める格好のチャンスにできるのではないか。その意味では、Boxは取り組みやすいクラウドサービスといえよう。筆者にはレヴィ氏の「コンテンツをナレッジに変換して活用する」という言葉が一番印象に残った。
フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT/デジタル」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。
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