Amazon倉庫の“ロボット革命”を支える生成AI基盤モデルが誕生：AIニュースピックアップ

Amazonは100万台目のロボットを日本に導入し、生成AI「DeepFleet」の運用を開始した。これによりロボットの移動効率が約10％向上し、配送の迅速化とコスト削減が見込まれる。

[後藤大地，有限会社オングス]

　Amazon.com（以下、Amazon）は2025年6月30日（現地時間）、全世界で通算100万台目となるロボットを日本のフルフィルメントセンターに導入し、併せて新たな生成AI基盤モデル「DeepFleet」の展開を開始した。これにより同社のモバイルロボット群において移動効率が約10％向上し、配送スピードの短縮とコスト削減が期待されている。

ロボットが経路を最適化するイメージ（出典：Amazonのプレスリリース）

Amazon倉庫の“ロボット革命”は何をもたらしたか

　DeepFleetは、フルフィルメントセンター内のロボットの動きを全体的に制御するAIモデルであり、ロボット同士の移動を最適化し、センター内の混雑を緩和する役割を担う。今後も継続的に性能が向上する仕組みだ。配送効率の向上だけでなく、顧客の利便性向上にも寄与する技術だ。

　DeepFleetはフルフィルメントセンターにおける在庫移動に関するデータセットと「Amazon SageMaker」を含むAWSツールを活用して構築された。

　同社のロボティクスの取り組みは2012年に始まり、当初は単一機能の棚移動ロボットに過ぎなかったが、現在では複数の機種をそろえた多様なロボット群へと進化した。「Hercules」は最大1250ポンドの在庫を持ち上げ移動し、「Pegasus」はコンベヤーベルトで小包を正確に扱う。「Proteus」は、人間の作業エリアを自律的に移動できるモバイルロボットだ。

　ロボットの導入は業務の効率化にとどまらず、現場従業員の働き方や職種にも変化をもたらした。2019年以降、70万人以上の従業員が先端技術に対応するスキル研修を受けており、新設されている次世代型施設ではロボット技術の導入によりシステムの保守や信頼性確保、エンジニアリング業務の量が従来比で30％増加した。

　今後、DeepFleetはさらにデータを学習し機能を高め、より多くの商品をスピーディーに顧客のもとに届ける仕組みへと成長することが期待されている。Amazonは、ロボットとAIの融合によってフルフィルメントと配送の可能性を大きく広げつつあり、その取り組みは今後も続いていくことが示唆されている。