[ONStor] NASゲートウェイの存在価値とはレージ関連ベンダ それぞれの戦略(2)(2/2 ページ)

» 2006年06月29日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]
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次はグローバル・ファイルシステムへ

──製品開発では、どのような方向を目指していますか。

 現在よりも大幅にパフォーマンスの高い製品を開発しようとしており、これによって対パフォーマンス・コンピューティング分野を狙っていきます。

 現在における当社の製品のパフォーマンス上限は1台当たり3万6000IOPS(秒当たりI/O)ですが、おそらく1年後には10万IOPSを達成できるでしょう。ハイエンドの垂直市場、例えば石油や製薬を念頭に置いたソフトウェア機能としては、グローバル・ファイルシステムが有望です。当社では、次の最大のソフトウェア関連開発作業として、グローバル・ファイルシステムに注力します。

──ストレージ一体型のNASと比較して、NASゲートウェイとストレージの組み合わせは、管理が煩雑になるということはないのですか。

 実際には、管理はより簡単になります。それは、顧客が購入したストレージアレイの管理ツールをそのまま使えるからです。例えば3PARのストレージを導入しているなら、3PARの管理システムを利用すればいいのです。最初に当社のユーザーインターフェイスを用いて3PARのストレージ上にボリュームとLUNを構成し、仮想サーバを設定しさえすれば、あとは3PARの管理ツールを使ってすべての機能を活用することができます。お客様は今まで使い慣れているツールを使い続けられます。

──ONStorが特に強い産業分野を教えてください。

 大きな成功を収めている分野の1つはインターネットのコンテンツデリバリ関連です。Yahoo! Broadcastのほか、AOL、facebook、Shopzillaなどが顧客です。小ファイルサイズにおけるパフォーマンスがNetAppやEMCよりもはるかに優れているという特徴を生かせています。例えばFacebookはストレージを1日当たり0.5Tバイトのペースで増強しています。当社にとって、一番急速に伸びている産業分野だといえます。

 このようなWebコンテンツ分野に対して当社の製品を最適化するため、可変ブロックサイズやファイル圧縮をはじめ多様な機能を追加していこうとしています。

 その次には石油・ガスといったところを狙っていきたいと思います。

2年後にはNASゲートウェイで1位になる

──日本市場ではどういった分野が取り組みやすいですか。

 インターネット系が早いと思います。サービスがヒットすれば急速に伸びるため、迅速な増強が求められますし、ハイ・パフォーマンスでないと商売を継続できない分野でもあります。一般的な日本のエンタープライズ市場はIBMや富士通といった企業に抑えられている場合も多いですが、インターネット関連企業については支配的なベンダがいないということもあります。

 また、EDAやPDMといった電子設計関連では、現在のところNetAppが80〜90パーセント入っています。こうしたお客さんは、容量だけ増強したくても、NASヘッドを併せて買わなければならず、高価なので困っています。そこに当社の入っていく余地があります。[この回答のみ日本法人代表取締役社長 大久保清隆氏による]

──最大の競争相手はどの会社ですか。

 NetAppは最大の競争相手です。当社は、NASゲートウェイ市場においてNetApp、EMCについで3番目の位置にいます。しかし、2年以内にネットアップとEMCを超えられると思います。2社ともゲートウェイだけを売りたいとは思っておらず、いつでもストレージと一緒に売ろうとしているからです。また、2社とも他社のストレージをサポートすることを拒否しているからです。

 当社のNASゲートウェイの導入において、接続対象となっているストレージのベンダ構成を見てもらえば分かりますが、日立、IBM、3PAR、EMCなど、偏りがないのが大きな特徴です。実際に、さまざまなベンダのストレージに対応していること、これこそがNASゲートウェイの存在意義です。EMCは確かに当社よりもNASゲートウェイを多く売っていますが、私は取締役会で、「EMCは最高のパートナーの1社だよ」と冗談交じりに話しています。

 ストレージの市場では、必ず新しいプレイヤーが参入してきます。お客様は、こうした市場のダイナミズムを効果的に取り込みたいと考えています。当社の製品の価値は、これを助けることにあるのです。

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▼著者名 三木 泉


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