勤怠管理の負担を減らし、労務管理をスムーズにするには、勤怠管理システムの導入が役立ちます。手作業でのミスを防ぎ、労働時間の適正な管理を行うことで、企業全体の業務効率も向上します。本記事では、勤怠管理システムの導入が必要な理由や基本機能、選び方、導入までの流れをわかりやすく解説し、併せておすすめ製品をご紹介します。
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目次
勤怠管理システムの導入が重要な理由
勤怠管理は企業において、法令やコンプライアンス順守しつつ、従業員に安心して勤務してもらうために欠かせない業務です。特に近年は働き方改革が推進されており、労働時間を正確に把握することや休暇の適切な管理などが強く求められています。従来の手作業/アナログな工程の多い管理では、集計や転記に多くの時間を要するだけでなく、ミスやトラブル、不正打刻のリスクが高くなります。
その課題に対処するのが勤怠管理システムです。勤怠管理システムを導入することで、出勤・退勤や残業、休暇申請などの情報をリアルタイムに可視化し、給与計算システムともスムーズに連携させられます。結果として、企業としての業務効率化やコンプライアンスの強化、そして従業員の健康と公平な処遇の両立をめざすうえで、勤怠管理システムは必須といえる存在になっています。
この1ページで解決勤怠管理システムの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントを理解する|おすすめ54製品をタイプ別に比較
勤怠管理システムの基本機能
勤怠管理システムは、単に出勤や退勤を記録するだけではなく、シフト作成や休暇申請、残業の自動集計など、多種多様な機能を備えています。
- 出退勤時刻の自動記録とリアルタイム確認
- シフト管理機能
- 休暇の申請・承認ワークフロー
- 残業時間の自動集計・アラート機能
- 他システムとの連携
出退勤時刻の自動記録とリアルタイム確認
まずは「出退勤時刻の自動記録とリアルタイム確認」です。従業員がICカードをかざしたり、PCやスマートフォンで打刻したタイミングが瞬時にシステムへ反映されるため、人事担当者は各従業員の勤怠状況を常に把握できます。タイムカードを集計するまで正確な残業時間をつかめない、といったタイムラグが解消され、未然に長時間労働を防ぐ判断もしやすくなります。
シフト管理機能
また、シフト管理機能では、曜日や時間帯ごとに必要な人員数やスキルを登録し、従業員の希望や休暇状況も考慮しながら効率的にシフトを作成できます。小売・飲食など大人数がシフト制で働く現場で導入すると、シフト調整に費やす工数が大幅に削減されるでしょう。
休暇の申請・承認ワークフロー
休暇の申請・承認ワークフローを電子化できる点も重要です。従業員はPCやスマホから有給休暇などを申請し、上司がオンラインで確認・承認すれば、その情報が勤怠データに連動するので、転記や漏れがなくスムーズです。
残業時間の自動集計・アラート機能
さらに、残業時間の自動集計・アラート機能が備わっていることも大きなメリットです。法律で定められた上限(原則月45時間など)に近づいた際に警告を発する機能があれば、管理者や従業員が早めに対応策を打ち出すことができます。
他システムとの連携
こうした客観的な勤怠データは給与計算の基本データとしても連携可能です。勤怠管理システムと給与計算システムをCSVやAPI(※)で連携すれば、二重入力によるミスや無駄がなくなり、正しい給与を迅速に支払うことが容易になります。
API(Application Programming Interface)は、ソフトウェア同士が情報をやり取りする際のルールや接続仕様のこと。API連携により、システム間でデータを自動的に、かつスムーズに受け渡すことが可能になります。
勤怠管理システムを導入するメリット
勤怠管理システムは、企業内の様々な負担を軽減し、正確性とコンプライアンスを高めます。主なメリットとして以下の点が挙げられます。
- 勤怠管理業務の効率化と負担軽減が見込める
- 不正を防止し、データの正確性と透明性を高められる
- 勤怠状況を可視化し、適正な労務管理やデータ活用ができる
勤怠管理業務の効率化と負担軽減が見込める
勤怠管理システムは、企業内の様々な負担を軽減し、正確性とコンプライアンスを高めます。まず、人事や労務担当者の手入力や転記作業が劇的に減少します。以前はタイムカードを月末に回収してExcelで集計し、残業時間や休日出勤を個別に計算するといった負荷が大きかったかもしれません。しかしシステムを導入すれば、それらの集計は自動化され、ミスを防ぎながら時間を大幅に節約できます。ある企業では、勤怠管理の月次締め作業が7営業日から3営業日に短縮された事例もあります。
不正を防止し、データの正確性と透明性を高められる
また、不正打刻やデータ改ざんといったリスクが下がるのも重要です。勤怠管理システムは、ICカードや生体認証、GPS打刻などを組み合わせることで、不正な代理打刻を防止したり、打刻データを自動記録したりできます。打刻の履歴が残るため、後から不自然な修正があっても履歴としてトレースでき、公正で透明性のある労務管理を実現できます。
勤怠状況を可視化し、適正な労務管理やデータ活用ができる
さらに、従業員の残業や有給休暇の取得状況を可視化できる点も見逃せません。ダッシュボード機能などを通じて誰がどれくらい残業しているか、年次有給休暇の取得率はどうか、部署ごとに偏りがないかがひと目で分かります。長時間労働の温床を早期に発見して改善策を打てたり、有休をきちんと取得してもらうことで従業員のストレスを軽減できたりするため、企業全体で生産性向上につなげられます。蓄積された勤怠データを活用すれば、業務プロセス改善や人員配置の最適化など、更なる経営戦略にも役立つでしょう。
勤怠管理システムの選び方
自社に最適な勤怠管理システムを選ぶには、ただ多機能であることを求めるだけでは不十分です。企業の働き方や人事戦略にマッチしたシステムを導入しなければ、期待するほどの効果が得られない場合があります。ここでは、選定の際に必ず押さえておきたいポイントを紹介します。
- 企業の勤務形態に対応しているか
- 操作しやすいか
- 打刻方法が適しているか
- システムの拡張性はあるか
- 導入コストとサポート体制は適切か
企業の勤務形態に対応しているか
企業によってはシフト制やフレックス制、テレワーク、あるいは外勤が多いなど、さまざまな勤務形態が混在していることがあります。シフト制ならば、複雑なシフトパターンや急な欠員対応が楽に組める機能、フレックスタイム制ならコアタイムや清算期間を設定して総労働時間を管理する機能などを確認する必要があります。
また、プロジェクト単位で工数管理を行いたい業態では、そのための機能をオプションで追加できるシステムもあります。社内で利用している就業規則や独自ルールに合わせて設定できるかどうかも大きな判断基準となります。将来的に組織が拡大して新たな勤務形態を採り入れる可能性がある場合は、長期的な拡張性も視野に入れましょう。
操作しやすいか
どんなに高機能でも、日常的に使う人が操作に戸惑うシステムでは導入効果が得られにくいです。出退勤の打刻や休暇申請をするのは一般の従業員ですし、管理者が日々の承認やデータチェックを行います。画面のデザインやメニューの配置が分かりやすいか、PCだけでなくスマートフォンやタブレットにも対応しているかといったポイントを確認しましょう。
特に、シンプルな画面構成やボタン配置で迷わず操作できる設計になっているか、打刻漏れや申請忘れを防ぐアラート機能があるかなど、実際の運用をイメージして検証することが重要です。無料トライアル期間やデモ版を使うと、操作性をじっくり確かめられます。
打刻方法が適しているか
打刻方法は、企業の勤務環境やセキュリティレベルなどに応じて選択肢が変わります。オフィス勤務が中心であればICカードリーダーを設置しやすいかもしれませんし、テレワークや外勤が多い場合はPCやスマホによるWeb打刻が必須でしょう。近年では指紋や顔認証など生体情報を用いた打刻や、GPSを併用して打刻場所を確認する仕組みも普及しています。
以下は代表的な打刻方法です。
打刻方法 | メリット | デメリット | 不正防止効果 |
PC・スマホWeb打刻 | 導入コスト低、場所を選ばない | インターネット環境が必須、ログイン管理が必要 | 低〜中 |
ICカード打刻 | 操作が単純、既存社員証など利用可能 | リーダー設置のコスト、カード貸し借りリスク | 中 |
生体認証 | カード不要、本人以外の打刻ほぼ不可能 | デバイスが高価、生体情報登録に配慮必要 | 高 |
GPS打刻 | 外勤・出張に便利、位置情報で不正抑止 | 精度が環境依存、プライバシー説明が必要 | 中〜高 |
自社の働き方に合った打刻方法を選び、必要に応じて複数の手段を併用するとよいでしょう。店舗や工場の場合、タブレット端末やQRコードを使う方法も低コストで導入しやすく、スタッフが多い現場にも対応しやすいです。
システムの拡張性はあるか
勤怠管理システムは、給与計算や人事管理システムなど他の基幹システムと連携させることで真価を発揮します。たとえば、API連携やCSV出力の設定が柔軟に行えるかどうかをあらかじめ確認しておくと、スムーズにデータを受け渡しでき、給与計算の自動化にもつながります。プロジェクト単位で作業工数を管理したい企業では、工数管理ツールとの連携を重視する必要があるでしょう。
また、将来的に従業員数が増えたり、海外拠点を新設したりといった変化に対応できるかも重要です。クラウド型であれば、ユーザーライセンス数の追加が比較的容易であり、定期的なアップデートで新機能や法改正にも対応しやすい傾向があります。ただし、オンプレミス型の方が自社独自の要件に合わせやすいケースもあるため、予算や保守体制とあわせて検討することが大事です。
導入コストとサポート体制は適切か
勤怠管理システムの導入には、初期費用や月額費用、デバイス購入費などのさまざまなコストがかかります。クラウド型だと初期費用を抑えられますが、月額課金が続くため、長期的なランニングコストを見積もることが必要です。無料トライアルやデモ版があるシステムを試しておけば、導入後に「使いにくくて結局やめた」といった失敗リスクを大幅に減らせます。
さらに、導入後にトラブルや疑問が生じたとき、すぐに問い合わせられるサポート体制も大切です。電話・メール・チャットなど問い合わせ手段は豊富か、対応時間はどの程度か、初期設定を手厚く支援してもらえるかなどを比較しましょう。操作マニュアルやFAQが充実しているか、従業員向け研修のサポートがあるかなども確認すると安心です。
ICカードに特化した勤怠管理システムの選び方を詳しく知りたい方は、「ICカードで運用する勤怠管理システムの選び方」もご覧ください。
勤怠管理システムを導入するまでのステップ
実際に勤怠管理システムを導入するときは、最初に目的を明確化し、各種要件を整理してから比較検討・試験運用を行う流れがおすすめです。最後のステップとして全社展開を実施し、従業員全員が問題なく使いこなせる体制を整えます。
- 必要な条件を明確にする
- システムを比較検討する
- 試験運用を行う
- 本導入と従業員への周知
必要な条件を明確にする
まずは自社の現行ルールや課題を洗い出し、「なぜ勤怠管理システムが必要なのか」をはっきりさせます。たとえば、固定勤務以外にもシフト制やフレックスタイム制を導入しているのか、有給休暇の管理が手間になっているのか、残業が多すぎるのではないか、といった点を具体的に確認するのです。また、ICカードやスマホ打刻、在宅勤務者の扱いなど、必要となる機能をリストアップします。給与計算や工数管理との連携が必須であれば、その範囲や連携手段(APIかCSVか)も検討ポイントです。併せて大まかな予算の上限を決めておくことで、費用対効果を考えながらシステムを比較しやすくなります。
システムを比較検討する
要件が整理できたら、実際に市場にある複数の勤怠管理システムをピックアップし、機能・操作性・費用・サポート内容などを比較しましょう。webサイトやカタログだけで判断せず、できれば無料トライアルやデモンストレーションを通じて操作感をチェックすることが望ましいです。使いやすさや画面のわかりやすさ、従業員と管理者の両方で問題なく利用できるかどうかを評価します。
また、既存の給与計算システムとの連携においては「どこまで自動化できるか」「どのようなデータ項目が連携可能か」を確認し、トラブルなくスムーズに連動する仕組みを構築できるか見極めましょう。
試験運用を行う
導入するシステムの目星がついたら、いきなり全社導入するのではなく、一部部署や特定の従業員を対象にパイロット導入(試験運用)を実施すると安心です。1〜3カ月程度、実際の出退勤打刻や休暇申請を新しいシステム上で行ってもらい、集計結果の正確性や操作のしやすさをチェックします。
この段階で「特定のルールが設定できない」「工場勤務とオフィス勤務で使い勝手が違う」などの課題が見つかったら、ベンダーと相談しながら調整を行います。また、試験運用に参加した従業員や管理者からのフィードバックを反映し、マニュアルや運用ルールを最適化しておくと、本格導入後の混乱を大幅に減らせます。
本導入と従業員への周知
試験運用で得られた知見を踏まえ、システムや設定、運用ルールが整ったら全社展開に移ります。ここでは、導入時の周知や説明が非常に大切です。従業員には「どのように打刻すればいいか」「休暇申請はどこから行うか」「万が一打刻を忘れた場合の対処はどうするか」などを具体的に示す必要があります。加えて、操作マニュアルやFAQを社内ポータルに掲載し、問い合わせ窓口を明確にしておきましょう。
導入後、少なくとも初月はトラブルや疑問が多発しがちです。問い合わせ窓口に迅速に対応できる体制があれば、従業員の不満や混乱を最小限に抑えられます。さらに、導入から数カ月経った時点で再度アンケートやヒアリングを行い、必要に応じてシステム設定や運用ルールを微調整すると、社内定着がスムーズになります。
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