
深夜に働くと発生する「深夜手当」。でも、どの時間帯が対象なのか、どんな計算方法なのか、実はよくわからない…そんな方も多いかもしれません。
この記事では、深夜手当の基礎知識から、夜勤手当や残業手当との違い、計算方法、注意点まで、わかりやすく解説します。未払いリスクの防止や自分の権利を守るためにも、まずは知っておきたいポイントをまとめました。給与明細や就業規則のチェックにも役立つ内容です。
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目次
深夜手当の定義と基本ルール
深夜手当は、労働基準法によって企業に支払いが義務付けられている「深夜割増賃金」です。働く人が安心して働けるよう、法律によって細かい条件や計算方法が定められています。
ここからは、まず深夜手当がどのようなものか、その基本的な仕組みを押さえていきましょう。
深夜手当の対象となる時間とは?
深夜手当の支給対象となる時間は、22時から翌朝5時までと法律で決まっています。この時間帯に1分でも働けば、その分が深夜手当の対象となります。企業が独自に対象時間を変更することはできません。
| 項目 | 内容 |
| 対象時間 | 22時~翌5時 |
| 1分でも対象か | 対象になる(働いた分だけ計算) |
法定時間や上限規制の背景理解には「36協定と勤怠管理|法令遵守と効率化を両立するためのポイント」も併せてご覧ください。
割増率と支払い義務のポイント
深夜に働いた場合、企業は通常の時給や日給などに「25%以上」を上乗せして支払うことが必要です。これは正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員など雇用形態を問わず全員に適用されます。もし割増率を下回る設定や未払いがあれば、法律違反となります。
深夜手当と夜勤手当・残業手当との違い
深夜に働いたときにもらえるお金には、深夜手当のほかに「夜勤手当」「残業手当」など、似た名前の手当があります。しかし、それぞれの性質や計算ルールは大きく異なります。ここでは、それぞれの違いを整理していきます。
夜勤手当と深夜手当は何が違う?
夜勤手当は会社が独自に定める手当で、金額や支給のルールは会社ごとに異なります。一方、深夜手当は法律により支払いが義務付けられている手当です。夜勤手当が出ている場合でも、22時~5時に働いた時間分の深夜手当は「別途支給」する必要があります。
深夜手当と残業手当の違い
深夜手当は「22時~5時」の勤務に対し25%以上の割増、残業手当は「法定労働時間(1日8時間、週40時間)超」の勤務に対して25%以上の割増が必要です。22時以降の残業には両方の割増が重なり、休日の深夜労働はさらに加算されます。
| 手当の種類 | 対象となる時間・条件 | 割増率 |
| 深夜手当 | 22時~5時 | 25%以上 |
| 残業手当 | 法定労働時間超(8h/日、40h/週) | 25%以上 |
| 深夜手当+残業手当 | 法定労働時間超かつ22時~5時 | 50%以上 |
| 休日+深夜手当 | 法定休日かつ22時~5時 | 60%以上 |
深夜時間の集計方法を実務で反映するなら「エクセルで行う勤怠管理|無料でできる勤怠管理システムの作り方」をご確認ください。
深夜手当の計算方法を具体例で解説
深夜手当の計算は、時給制か日給制・月給制かどうかによって異なります。また、複数の割増が重なる場合はさらに注意が必要です。実際の計算例を参考に、具体的な方法を見ていきましょう。
時給制の場合
時給制の場合は、1時間あたりの時給に25%を上乗せします。例えば時給1000円なら、深夜時間帯は1250円になります。働いた深夜時間数に応じて計算します。
日給制・月給制の場合
日給制は日給を所定労働時間で割り、時給を算出。その時給に25%を加えた金額が深夜手当分になります。月給制の場合も、月給を月の平均所定労働時間で割って時給を計算し、同様に25%を上乗せします。
家族手当や通勤手当など、賃金計算に含めてはいけない手当がある点も注意しましょう。
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割増率が重なる場合の計算例
深夜手当と残業手当、休日手当が重なる場合は、それぞれの割増分を合計します。
- 時間外労働と深夜労働:合計50%以上の割増(25%+25%)
- 休日労働と深夜労働:合計60%以上の割増(35%+25%)
| 労働状況 | 割増率 |
| 残業(時間外労働) | 25%以上 |
| 深夜労働(22時~5時) | 25%以上 |
| 休日労働 | 35%以上 |
| 残業+深夜労働 | 50%以上(合算) |
| 休日+深夜労働 | 60%以上(合算) |
深夜手当の支給に関する注意点
深夜手当の運用には、対象者や他の制度との関係など、知っておきたいポイントがいくつかあります。誤った運用は法律違反となるため、注意が必要です。
- パート・アルバイトや管理職も対象になる
- 裁量労働制・固定残業代の取り扱い
パート・アルバイトや管理職も対象になる
パートやアルバイトも正社員と同じく、22時~5時に働けば深夜手当が支給されます。
また、管理職(管理監督者)は、残業手当や休日手当の対象外でも、深夜手当は必ず支払わなければなりません。
なお、満18歳未満の労働者は深夜労働が法律で禁止されています。
また、妊産婦や小さな子どもを育てている人、介護をしている人などは、深夜労働の制限や拒否ができる場合もあります。
裁量労働制・固定残業代の取り扱い
裁量労働制を導入している場合でも、実際に深夜の時間帯に働いた分には深夜手当が必要です。
固定残業代に深夜手当を含める場合は、契約書や就業規則に「深夜労働〇時間分」と明記されている必要があり、超過分があれば別途支払う必要があります。
深夜労働の健康リスクと企業の配慮
深夜労働は、心身への負担が大きくなりやすい働き方です。そのため、企業側にも健康管理や働き方の工夫が求められます。適切な管理や配慮を行うことで、従業員の健康を守り、法律違反も防げます。
勤怠管理システムの活用で正確な管理ができる
深夜手当の複雑な計算や記録ミスを防ぐために、勤怠管理システムの活用が有効です。システムを使えば、深夜・残業・休日の割増計算を自動で処理でき、給与計算システムと連携することで事務作業の負担やミスも減らせます。
また、長時間労働や深夜勤務が多い場合にはアラート機能で早めに注意喚起が可能です。
未払いリスク回避と運用体制づくりには「勤怠管理システムのメリットとは? 導入すべき企業の特徴と選び方」をご覧ください。
健康管理や働き方の見直しにも目を向ける
深夜勤務が多い職場では、従業員の定期健康診断を年2回実施することが義務付けられています。
また、長時間・連続の深夜勤務が続く場合は、体調不良やメンタル不調のリスクも高まるため、シフトの調整や十分な休憩の確保など、健康面の配慮が必要です。
制度変更を踏まえた運用更新には「勤怠管理における法改正【2025〜2026年度版】」をご確認ください。
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