ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)は1月26日、2003年度第3四半期および9カ月通算の連結決算を発表した。第3四半期の売上高は、前年同期比3.5%減の95億9000万円。関連会社の持分変動益や投資有価証券売却益を計上したことで2億9200万円の純利益を確保したものの、営業損失は4億6300万円、経常損失も5億400万円となった。
会員数は、ほぼ横ばいだ。ブロードバンド会員数こそ昨年同期末の37万人から15万人増の52万人と比較的好調だが、ナローバンド会員の退会が増えたことで、全体では前年比1万人増の230万人にとどまった。「他社が量販店などで強力な販促活動を行っており、苦労しているのが現状だ」(SCNの山本社長)。また減益の理由として山本社長は、昨年4月に実施したADSL料金の値下げと無料キャンペーンによる“収入の遅れ”を挙げている。
今回の発表に伴い、昨年10月に発表した2003年度通期の業績見通しも修正された。So-net会員数の見込みは240万人から10万人減って230万人へ、また売上高も400億円から3.8%減の385億円に下方修正している。
ただし山本社長は、今後の展開について一定の手応えを感じている様子だ。とくにFTTHに関しては、有線ブロードネットワークスや東京電力との提携による移行が進むと予測。「有線ブロードの場合は、ホールセールの仕組みが整うまでに時間がかかったが、10月頃から動きが良くなっている。年末から本格化した東電との協業もあわせ、今年はADSLからFTTHへの移行が進むだろう」とした。
一方、第3四半期決算では、接続サービスによる収益が全体の8割を切ったこともトピックの1つ。これは、粗利の低い回線ビジネスから利益率の高いブロードバンドサービスへのシフトが進んだという解釈だ。昨年は「So-net TV」の大幅拡充をはじめ、ソニーの「プラズマ<ベガ>」向けのポータルサービスや、オンラインジュークボックスサービス「Wonder Juke」の提供を開始したが、Wonder Jukeが1月中に有料化されるなど、新しいサービスからの収入も期待できるようになる。「サービスの充実という意味では、着実に進歩している。その効果が現れるのは今年だろう」(山本氏)。
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