iVDRハードディスク・コンソーシアムは4月12日、1型HDDを用いた「iVDR micro」規格と、コンテンツ保護機能を実現する「iVDR-Secure」規格を採択した。同日、アイ・オー・データ機器は製品化第1号となるiVDR-USB2.0アダプタ「USB2-iVDR/20」を発表。都内で行われた「iVDRコンソーシアムセミナー」では、日置敏昭代表が「2004年はiVDR元年」と意気込みを語った。
iVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)は、家電やパソコンを含む幅広い分野で利用することを目指す大容量のリムーバブルメディア規格だ。シリアルATAインタフェースの高速性やマルチチャンネルアクセスといった特性を生かし、カーナビやビデオ録画機、ポータブルAV機器などへの応用が期待されている。
2002年に設立されたコンソーシアムは、会員企業が4月12日現在で39社となり、「契約中の企業をくわえると40社を超える」。旗振り役の三洋電機をはじめ、日立製作所、パイオニア、シャープといった家電メーカー、クラリオンや富士通テンなどのカーナビベンダー、PC周辺機器メーカーなど幅広い企業が参画している。
今回、暫定的ながら「iVDR micro」の規格が策定されたことで、iVDRのフォームファクタは、2.5型、1.8型、そして1型の3種類となった。このうち2.5型と1.8型は共通の26ピンコネクタを持ち、また1型もアダプタなどを使えば相互に利用できる。家電用途を想定し、挿抜回数1万回、900G以上の耐衝撃性(非動作時)といった厳しい条件が盛り込まれているのは従来と同じだ。
一方の「iVDR-Secure」は、デジタル放送のコピーワンス番組録画や、ブロードバンド配信に求められる著作権保護機能を盛り込んだ適用範囲の広い規格だ。暗号方式には、公開鍵暗号と共通鍵暗号を組み合わせて採用。ネットワークを介した認証をサポートし、暗号化されたコンテンツとライセンスキーを個別に流通させる、いわゆる“超流通”にも対応できるという。
iVDR-Secureでは、ディスク記録時にコンテンツを暗号化し、また鍵データやライセンス情報などは「TRM」(Tamper Resistant Module)と呼ばれる独立した領域に別途記録する。たとえば、ブロードバンド配信でよくみられる“×日後に自動消去”といった利用制限が付いたコンテンツ鍵なども、TRMで厳密に管理する仕組みだ。もちろんパソコンで参照したり、改変することは不可能になる。
「iVDR-Secureにより、デジタルテレビ録画やブロードバンド配信に必要な仕様が承認されたことになる。今後は、オーディオやビデオカメラ、カーナビなども商品化できるよう、なるべく早く仕様を決めていきたい」(日置代表)。
「iVDR-Secure」シリーズのハードウェア仕様は下記の通り。
iVDR | iVDR mini | iVDR micro | |
---|---|---|---|
サイズ | 110×80×12.7ミリ | 67×80×10ミリ | 50×50×8ミリ |
HDD(現在の容量) | 2.5型(80Gバイト) | 1.8型(20Gバイト) | 1型(1Gバイト) |
耐衝撃性 | 900G以上を確保すること(非動作時) | ||
コネクタ仕様 | 26ピンiVDRオリジナル | 26ピンiVDR microオリジナル | |
コマンド | ATA準拠+セキュア拡張 | ||
HDD構造 | 耐ダンパ領域を持つこと | ||
もう1つ、今回明らかにされた仕様として、「iVDR I/O」規格がある。iVDR I/Oカードは、iVDRのスロットとコネクタインタフェースを利用し、iVDR搭載機器に拡張ハードウェアを追加するための規格だ。無線LANカードやTVチューナーカードなどが検討されており、会場には試作品として「iVDR TVチューナーカード」も展示されていた。「たとえば、1台のHDDレコーダーで6つのチャンネルを同時録画したいとき。iVDRスロットに6枚のTVチューナーを挿せばいい。ハードウェアの拡張も容易になる」。
展示スペースには、昨年と同様、各社が試作したiVDR搭載機器が展示されていた。とくに今回は、モバイル用のポータブルAVプレーヤー、コンテンツ配信用のキオスク端末などが目立った。
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