国内でプラズマ/液晶/リアプロのすべてを展開するソニーWEGAシリーズで、42インチを例に比較してみよう。
本体サイズのみを比較すると、リアプロ(KDF-42HD900)が120(幅)×85.4(高さ)×37.3(奥行き)センチに対して、プラズマ(KDE-P42HX2)が135.2×72.0×10.2センチ、液晶(KDL-L42HX2)が134.9×77.5×29.5(付属スタンド込み、パネル部は10.2)センチと、奥行きではプラズマが圧倒的有利だが液晶とリアプロの差は小さく、幅ではリアプロが他2機種に比べて15センチほどコンパクトだ。
奥行きで見落としがちなのは、リアプロや液晶(付属スタンド)はそのまま自立できるが、プラズマは別売り専用台(スタンド)が必要となる点。一番コンパクトなテーブルトップスタンド(SU-P42T2)込みでプラズマのサイズを見ると135.2×78.9×29.5センチと液晶とほぼ同じとなり、リアプロとの奥行きの差は約8センチに縮まるのだ。
さらに消費電力が461ワットとリアプロ(220ワット)の2倍以上あるプラズマは背面に放熱スペースを確保しなければならないため、実質の設置面積はリアプロとほぼ同じと考えていい。ちなみに低消費電力をうたう液晶も、実は291ワットとリアプロより大きい。
そして重さはリアプロ40キロ、液晶46キロ(付属スタンド込み)、プラズマ55キロ(別売り専用台込み)と、リアプロが一番軽い。プラズマ/液晶は別体のメディアレシーバー(6キロ)が必要となるのでさらに重くなる。
「プラズマ/液晶など“薄型TV”は設置場所に困らない」という見方は正しくないのだ。
主な仕様をまとめてみた。
プラズマ「KDE-P42HX2」 | 液晶「KDL-L42HX2」 | リアプロ「KDF-42HD900」 | |
---|---|---|---|
サイズ(自立最小時) | 135.2×78.9×29.5センチ | 134.9×77.5×29.5センチ | 120×85.4×37.3センチ |
重さ(同) | 55キロ | 46キロ | 40キロ |
消費電力 | 461ワット | 291ワット | 220ワット |
価格(実売) | 90万円(60万円前後) | 130万円(100万円前後) | オープン(30万円前後) |
発売日 | 2003年10月 | 2003年11月 | 2002年10月 |
WEGAシリーズではプラズマ/液晶よりもリアプロの方が発売が1年ほど前になる。設計が古くてもプラズマ/液晶とほぼ同等の本体サイズ(自立時)になっているのだから、最新技術を投入すればさらにコンパクトなリアプロになる可能性もあるだろう。
また、プラズマ/液晶では「壁寄せ」スタイルを提案しているが、日本家屋では大画面TVを置けるだけの壁は限られており、結局は従来CRTを置いていたコーナーに落ち着く。そうなると、奥行きサイズはあまり意味がなくなり、むしろ側面が斜めでコーナーにフィットするリアプロの方が部屋にスッキリと収まるのだ。
国内メーカーも家庭向けリアプロに向けて着々と準備をすすめている。
日本ビクターは、3月に行ったHD対応D-ILAプロジェクターの発表会(関連記事参照)で、0.7インチ720p(1280×720ピクセル)対応のリアプロTV向けD-ILAデバイスを紹介。同社は今年1月のCES 2004でもD-ILAを使ったリアプロTVを参考出展しており、北米市場向けに今夏頃リリースする予定。反響次第では、国内投入や安価な普及型D-ILAプロジェクターの登場も十分考えられるとしている。
また日立製作所も、昨日4月12日に発表したLCOS採用の業務用リアプロディスプレイの発表会(関連記事参照)で、コンシュマー向けリアプロの展開について「商品化は担当部で検討していると聞いている。年内には参入したい」と話している。
米国でのLivingstationシリーズの価格は、57型「LS57P1」が3999ドル(約43万円)、47型「LS47P1」が3499ドル(約37万円)と、同サイズのプラズマに比べて半額になっている。同シリーズは国内でも年内に発売される予定。発売時期の詳細はアナウンスされていないが、どうやらアテネオリンピックには間に合いそうだ。
「国内では、40インチ以下でも高画質で低価格のリアプロが供給できるのではと考えている。技術的にはけっして難しくなく、リアプロの認知が高まって普及が進めば十分可能。普及型0.9インチデバイスの開発も進めている。液晶やプラズマといった直視型TVは、価格を大幅に下げることは難しい。だが、リアプロなら40インチ以下で20万円を切ることも近い将来可能だろう。しかもハイビジョン対応でだ。“リアプロ”がディスプレイの1つのフォーマットとして確立できる時代になった」(小池氏)
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